美容師になるにはどれくらいの費用がかかるかご存知ですか?
どのような学校・コースで学ぶのかによって、かかる費用は大きく変わってきます。
この記事では美容専門学校でかかる費用だけでなく、国家試験の受験にかかる費用も含め、美容師になるために必要な費用をお伝えしていきます。
はじめに、美容師になるためのプロセスから確認していきましょう。
美容師になるためのプロセスとは
美容師を目指す方が美容師として働くまでには一般的に以下のようなプロセスをふむ必要があります。
上記はあくまでよくあるプロセスで、もちろん美容室に就職してから通信制の美容専門学校で学ぶこともできますし、国家試験を別のタイミングで受験することも可能です。
しかし、美容師として働くためには必ず美容師の国家資格を持っていなければなりません。
また、その国家資格を取得するための試験は美容専門学校で決められた期間、学習をしなければ受験することはできません。
美容専門学校では座学だけでなく、ウィッグを用いたカットやカラーリングの実習もあり、何かとお金がかかる印象・・・
質の高い知識・スキルを習得しつつ、できるだけ出費を抑えたいのが本音ですよね。
ここからは、美容師になるための教育の過程でかかる費用や国家試験の受験にかかる費用を解説していきます。
美容専門学校でかかる費用はどれくらい?
まずは美容専門学校でかかる費用についてです。
美容専門学校には昼間課程・夜間課程・通信課程の3つの学び方があります。
ここからお伝えする費用はそれぞれの課程の平均的なもので、選ぶ学校やコースによって差異があるというところは覚えておきましょう。
3課程それぞれの特徴と費用は?
昼間課程の場合
一般的な専門学校同様、朝~昼にかけて学校で学習します。
通う期間は2年です。
昼間課程を選択した場合にかかる費用は200万~300万円と言われています。
3つの課程の中だと最も費用がかかりますが、朝~昼にかけてじっくり学習できるのと、直接指導を受けることができるため、納得の金額でしょう。
夜間課程の場合
夕方~夜にかけて学校で学習します。通う期間は昼間課程と同じ2年である場合が多いですが、3年としている学校もあります。
また授業の日数について、昼間課程の授業は月曜から金曜までのことが多いですが、夜間課程は1日あたりに受けることができる授業数が少ない分、月曜から土曜までとしている学校もあります。
以上のように、通う年数や日数によって違いはありますが、夜間課程を選択した場合にかかる費用は昼間課程よりやや安く、150万~200万円と言われています。
通信課程の場合
通信課程は自宅での学習をベースとして、定期的にスクーリングといった対面式の授業へも参加します。
このスクーリングでは自宅での学習ではなかなかできない実習などの技術の習得をメインで行います。
通う期間は自宅での学習が多くなる分、他の課程より長く3年です。
ただし通信課程を選択した場合にかかる費用は50万~70万円と言われています。
現在働かれている方などで、自分のペースで勉強したい方やできるだけ費用を抑えたい方におすすめです。
3課程の特徴を一目で比較!
ここまで3つの課程の特徴や費用をお伝えしてきましたが、それぞれ異なる要素が多く「結局どこが違って、自分には何が良いの?」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここであなたに合った課程を見つけるために、3つの課程の特徴を一覧で確認してみましょう。
昼間課程 | 夜間課程 | 通信課程 | |
通う期間 | 2年 | 2年(3年) | 3年 |
学習の時間帯 | 朝~昼 | 夕方~夜 | 好きな時間に |
かかる費用 | 200万~300万 | 150万~200万 | 50~70万 |
こんな人におすすめ | ・学校メインの生活を送れる方 ・直接講師から指導を受けたい方 ・できるだけ短期間で知識を習得したい方 |
・仕事などで、日中は学校に通うのが難しい方 ・直接講師から指導を受けたい方 ・できるだけ短期間で知識を習得したい方 |
・仕事の傍らなど、スキマ時間で学習をすすめたい方 ・学習スケジュールを自分で管理できる方 ・とにかく費用を抑えたい方 |
いかがでしょうか?
自分がどの課程が合っているのか是非検討してみてください。
奨学金制度・教育ローンについて
ここまでお伝えしてきたように美容専門学校に通うには一般的な昼間課程では200万~300万、費用を抑えたとしても50万~70万はかかってしまいます。
この費用を抑えることができる、あるいは支払いを分割にできる仕組みが奨学金制度や教育ローンです。
奨学金制度
奨学金制度とは、お金が必要な学生に向けて給付・貸し付けが行われる制度です。
代表的な奨学金制度は国が支援する日本学生支援機構が行う奨学金制度。
ここで受けることができる奨学金には「給付型奨学金」と「貸与型奨学金」があります。
それぞれの違いは以下の通りです。
- 給付型奨学金:原則返済が不要。世帯収入の制限があるため誰でも受けることができるわけではない。
- 貸与型奨学金:返済が必要。利子の付かない第一種奨学金と、利子の付く第二種奨学金、これらとあわせて入学時の一時金として受け取れる入学時特別増額貸与奨学金(利子付)がある。
参考:独立行政法人 日本学生支援機構「JASOOの奨学金」
貸与型奨学金は学校を卒業した後も返済が継続します。
無理な返済にならないよう、計画的に申し込みを行うにしましょう。
教育ローン
教育ローンとは用途を教育関連に限定した家庭向けのローンのことで、銀行などが行っている「民間の教育ローン」と日本政策金融公庫が行っている「国の教育ローン」があります。
国の教育ローンは幅広い世帯年収の家庭を支援しており、固定金利のためシンプルにローンを利用することができます。
また入学のためにかかる費用が必要な場合、入学前でも合格が証明できる書類があれ借り入れをすることができます。
申し込みや申し込みに必要は書類などは国の教育ローンの公式サイトをご確認ください。
参考:日本政策金融公庫「国の教育ローン」
奨学金制度と教育ローンの違い
奨学金精度の違いと教育ローンの違いは主に「誰が借りて返済するか」と「借りることができるタイミング」です。
誰が借りて返済するか?について、奨学金制度は実際に学校に通う学生になります。一方教育ローンはその家族であることが一般的です。
借りることができるタイミングについて、奨学金制度は進学後(学校に入学してから)になります。一方先ほども述べましたが、教育ローンは入学前から借りることができ、入学金や授業料の支払いに利用できます。
奨学金と教育ローン、どちらを利用するのか?それともどちらも利用するのか?
お金のかかることです。家族と相談して、慎重に検討しましょう。
国家資格受験にかかる費用はどれくらい?
美容師になるためには美容師国家試験を受験・合格し、美容師免許を取得する必要があります。
ここでは美容師国家試験の概要と国家試験を受けるのにかかる費用を解説していきます。
美容師国家試験の概要
受験できる条件
美容師国家試験を受験するための受験資格は以下の通りです。
- 美容師養成施設で、次の課程を修了した人 ※平成10年4月1日以降に入学した人
・昼間課程 2年以上
・夜間課程 2年以上
・通信課程 3年以上 - 美容師養成施設で、次の課程を修了した後、1年以上の実地習練を経た人 ※平成10年3月31日以前に入学した人
・昼間課程 1年以上
・夜間課程 1年4ヵ月以上
・通信課程 2年以上
※平成14年3月31日までに1年以上の実地習練が終了していない人については、受験資格はありません。
参考:理容師美容師筆記試験「受験資格」
試験内容
試験の内容は「実技試験」と「筆記試験」に分かれています。
実技試験
実技試験は第1課題(カッティング)と第2課題(オールウェーブセッティング又はワインディング)に分かれており、それぞれ作業時間が決められています。
実技課題を行う際、「このような仕上がりにしましょう」という条件が細かく決められています。定められた通りの技術を発揮できないと減点となります。
また実技を行う際の身だしなみや準備工程なども衛生上の取り扱いとして採点されるポイントとなります。
筆記試験
筆記試験は7つの科目について実施されます。
- 関係法規・制度
- 衛生管理
- 保健
- 香粧品化学
- 文化論
- 理容技術理論(美容技術理論)
- 運営管理
またこれらの7つの科目を5つの分野にくくり、全55問が出題されます。
分野 | 重点項目 | 出題数 |
---|---|---|
関係法規・制度及び運営管理 | 関係法規・制度 運営管理 |
10問 |
衛生管理 | 公衆衛生・環境衛生 感染症 衛生管理技術(消毒法) |
15問 |
保健 | 人体の構造及び機能 皮膚科学 |
10問 |
香粧品化学 | 従来の理・美容の物理化学のうちの 香粧品化学 |
5問 |
文化論及び理(美)容技術理論 | 美容技術理論 文化論 |
15問 |
理容師美容師試験研修センターのホームページでは過去に出題された筆記試験の問題が公開されています。
問題の傾向を掴んだり、自分の今の力を試すために活用してみてください。
参考:理容師美容師筆記試験「過去の筆記試験問題」
時期
国家試験は春期と秋期で年2回実施されます。
それぞれの実施時期と合格発表時期は以下の通りです。
- 春期
・実技:1月下旬~2月上旬
・筆記:3月上旬
・合格発表:3月下旬 - 秋期
・実技:7月下旬~8月上旬
・筆記:9月上旬
・合格発表:9月下旬
場所
試験を受ける会場は実技試験と筆記試験で異なります。
第44回美容師国家試験の場合、試験地は以下のようになっております。
実技試験 | 滋賀県、高知県を除く各都道府県 |
---|---|
筆記試験 | 北海道、岩手県、宮城県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、岡山県、広島県、愛媛県、福岡県、鹿児島県、沖縄県 |
実技試験、筆記試験ともに試験ごとに大きく試験地に変更があることはありません。
ただし、1つか2つの都道府県が新たに対象になっていたり、対象ではなくなっていたりするため、自分が受験する回の試験地をきちんと確認しましょう。
また自分の住む都道府県で試験が行われない場合、近隣の都道府県で受験することになります。
合格率
美容師国家試験の合格率は平均して70%程度です。
しかし春期と秋期の合格率に差があり、春期の合格率は80~90%、秋期の合格率は50~60%と、春期の合格率の方が高くなっています。
受験料
美容師国家試験の受験手数料は以下の通りです。
実技試験か筆記試験がすでに合格している場合、合格していない方のみを受験すれば良いため片方の受験料のみかかります。
実技試験及び筆記試験 | 25,000円 |
---|---|
実技試験のみ | 12,500円 | 筆記試験のみ | 12,500円 |
※新型コロナウイルスの影響で体調不良により第43回の受験を辞退した方は第44回の受験料が免除されます
参考:理容師美容師筆記試験「受験手続」
まとめ
美容師になるためにどれくらいの費用がかかるかイメージできたでしょうか?
学費、受験費用などやはりしっかりとお金がかかってきます。
しかし美容師は手に職をつけることができ、誰でもできるわけではない職業です。
また美容師の資格を持っていると美容師だけでなく、メイクアップアーティストやネイリストとして活躍することができます。
働く場所も美容室だけでなく、ウエディング会場や介護・医療現場で働くこともできます。
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