副業を認める動きがどの職業でも増えてきています。本業の給料だけでは生活が苦しいケースもありますが、生活の質を上げたいケースもあるなど、動機はさまざまです。
ただし、勤務先の就業規定により副業を禁止している場合もあり、すべての美容師が副業できるとは限りません。ここでは、美容師が比較的始めやすい副業や、初めて副業を行なう際の注意点などを説明します。
副業のメリット
副業を行なうことで、単純に収入が増えるだけではなく、さまざまなメリットが得られます。ここでは、その利点を説明します。
収入源を複数にできる
副業をすると、自分の収入源が複数になり、本業に関するリスクを減らせる効果もあります。例えば、急に勤務先のサロンが閉店になったり、解雇されたりした場合でも、次のサロンを見つけるまで、当面の生活の心配はありません。
また、収入源が1つだと、失業を恐れて勤務条件や労働環境が悪くても無理して勤務しないといけない気持ちになるかもしれません。しかし、他にも収入源があれば、経済的および精神的に追い詰められながら無理な仕事を続けなくても済みます。そのため、他の店にも移りやすくなるでしょう。
仕事につながる可能性がある
副業を通じて、これまでの職場では出会わなかった人と知り合うことができ、人脈を広げることが期待できます。人脈を広げられれば、新たなお客様を獲得し、固定客を得ることも可能です。将来的には、独立するキャリアプランも立てられます。
副業のデメリット
副業は、メリットばかりではなく、個人によってはデメリットが発生する場合があります。ここでは、副業を行なう際に生ずる可能性のあるデメリットを説明します。
本業の勤務先でバレる可能性
副業は、原則誰が行なっても問題ありません。ただし、会社の就業規則で副業が禁止規定に含まれている場合は別です。公務員が副業を禁止されているのと同様に、美容師も勤務先の規則で副業が禁止されている場合があります。まずは、勤務先の規則を確認しましょう。
働いている所を目撃される
直接バレるとすれば、常連のお客様や職場の人に会ってしまうことです。サロンの近くはもちろん、常連のお客様の生活圏内にある職場に勤めることは、控えたほうがよいでしょう。直接会うだけではなく、SNSなどインターネット上の空間で見られてしまい、バレる危険性もあります。
副業をしているようすの画像や文章をアップしてしまうと、直接自分の顔写真や名前が載っていなくても、文章や少しだけ写り込んだ服装や持ち物の一部から特定されかねません。もし、本業・副業の幅を広げるためにSNSを通じてさまざまな人とつながり、人脈を広げたい場合は、別途、副業用のアカウントを作りましょう。
ただし、メッセージを誤って送信してしまい、本業の関係者にバレることのないよう、細心の注意を払う必要はあります。
住民税から判明する
美容師に限らず、副業がバレる可能性が高い原因の一つに住民税に関する事務処理が挙げられます。なぜなら、副業で多く稼ぐと住民税の金額が高くなるからです。住民税は、本業の給与から天引き(特別徴収)されますが、本業の勤務先では給与に関する事務処理で従業員の住民税が把握されます。
その際、同じぐらいの給与をもらっているはずの美容師で、なぜある人だけが住民税が多いのかといった疑問を持たれ、調べられると他に収入があることがバレてしまいかねません。バレないようにするためには、確定申告で特別徴収ではなく、普通徴収(給与天引きではなく、口座振替や納付書で直接納税)にすることが必要です。
過重労働になる危険性
副業が禁止されておらず、特にバレても問題がない場合でも、他にデメリットがあります。副業で働く分だけ当然労働時間が増えるため、休憩時間や休暇日数は減ってしまう点は注意が必要です。思っている以上に、体力が消耗したり、ストレスが増えたりする可能性があります。
副業で疲労が重なり、美容師の仕事に悪影響となるのでは、お客様だけでなく職場にも大きな迷惑をかけてしまいます。そのため、本業と副業それぞれの労働時間を考えながら、無理のない計画を立てなければいけません。
また、本業と副業の両方から受ける指示に対し、仕事量やスケジュールの調整を自分で行なう必要があります。一方の仕事が多忙になり、一方の仕事がおろそかになると、結局両方の仕事とも中途半端になってしまう可能性もあるでしょう。
美容師におすすめの副業
インターネットやSNSの普及により、副業の幅が広がってきていますが、ここでは特に美容師のスキルを活かした副業の事例を紹介します。
ヘアメイク
美容師のスキルが大きく活かせる副業の一つが、ヘアメイクです。ブライダルや成人式などのイベントやグラビア撮影だけでなく、ホストやキャバクラなどのナイトワークの出勤前にメイクをするケースであれば、拘束時間が短くて済みます。本業のスキルアップにもつなげられれば、相乗効果が期待できるでしょう。また、独立した際に固定客獲得のための人脈を先に作れることもメリットの一つです。
派遣美容師
ヘアメイクと同じく、派遣美容師も美容師のスキルがそのまま活かせます。休日にフリーランスとして他の美容室で働いたり、老人ホームなどを訪問してカットしたりする労働形態です。毎日勤めているサロンとは場所も客層も異なるため、普段とは異なる経験を積むことができることは、大きなメリットといえるでしょう。
特に、老人ホームでの訪問美容は、サロンでセットしてもらう機会のないお客様へサービスの提供が可能です。そのため、喜んでもらえることが多く、いつもとは違うやりがいを感じられるでしょう。
SNSの活用
副業では、YouTubeなどで動画投稿することも方法の一つです。「有名な美容師でもないのに、動画をアップしても観る人がいるのか」と思われるかもしれません。しかし、「一般の方でも簡単にできるセルフカットやヘアアレンジの方法」、同業者向けに「美容師の本音を語る」といった内容ならバズる可能性があります。
ただし、お客様の個人情報やお店に関する秘密を明かすのは厳禁です。場合によっては、解雇や損害賠償を請求される可能性があります。YouTuberは、おもに広告収入で成り立っていますが、稼ぐためには再生回数とチャンネル登録者数がある程度ないといけません。
YouTubeはなかなか収益化に結びつきにくいといわれています。再生回数を増やすため、TwitterやInstagramなど、他のSNSを駆使しながら、まずはより多くの人に知ってもらうことから始めましょう。拡散力の強いTikTokを使ってみるのも良さそうです。
また、勤務先のサロンから許可が得られる場合は、どこのサロンかオープンにしたうえで動画をアップしていくと、宣伝効果につながるかもしれません。
まとめ
副業に関して注意すべき点や、美容師にはどのような副業が向いているのか、具体的な例を挙げて説明しました。副業を始める理由はさまざまですが、「本業の給料が長らく上がらない状態で、転職は難しい」という場合は、副業は検討の余地があるでしょう。
ただし、本業の勤務先で副業が禁止されている場合もあるため、副業を計画する際には、まず就業規則の確認が重要です。また、副業により体力面や精神面で想像以上に疲れてしまい、本業に支障を来すようでは問題があります。
結果的に、副業を続けられなくなったり、本業さえも続けられなくなったりするリスクがある点も押さえておきましょう。まずは、簡単で仕事量が少ない副業から始めて、徐々に慣れてきたら本業とのバランスを考えることが大切です。上手に自分自身をコントロールして、中長期的に続けられるように、計画立てて対応してみてください。
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