一般的に、美容師は高給取りではなく、どちらかといえば労働時間が長い割にあまり稼げないイメージの人が多いかもしれません。美容師でも、年収700万円を超えることはできるのでしょうか。また、日本人の平均年収を上回ることができる美容師はどのくらいいるのかも気になります。そこで、この記事では美容師の年収700万円をテーマにさまざまな観点から解説していきます。
一般的な美容師の年収は?
最初に、一般的な美容師の年収を紹介します。
理美容師の平均年収は約330万円
厚生労働省の「令和2年度賃金構造基本統計調査」によると、理容・美容師の全国給与平均は、約26万9,400円です。年間ボーナスの平均は、約6万5,500円のため、平均年収に換算すると、約330万円となります。
全労働者平均は400万円台なので、美容師の年収は比較的低い傾向にあります。美容師年収のここ10年内の推移データを見ると、着実に上がっている傾向にありますが、それでも社会全体と比較して収入に恵まれた職業とはいえません。
参考:令和2年度賃金構造基本統計調査
国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」
最も高い首都圏も400万円以下
一般的な職業の賃金は、地方と比較して首都圏内(東京、千葉、神奈川、埼玉)のエリアで高い傾向です。美容師の場合でも同様の傾向にありますが、東京の平均年収の場合も335万円と、400万円にとどいていません。通常、給料が高いといわれる東京の給与は、美容師に限ってはほかの地域との大きな差が見られない結果となっています。
年収700万円は実現可能?
データからもわかるように、美容師が年収700万円を超えるのは、難しいように感じるかもしれません。実際に、美容師で700万円の年収は可能なのかを解説します。
年収700万円以上の割合
年収700万円となるためには、単純計算するとボーナスがない場合、月収ベースで約59万円稼ぐ必要があります。そもそも年収700万円の人は、どの程度いるのでしょうか。総務省の「賃金関連統計の比較検証に関する調査研究 報告書」によると、全労働者の所得分布で最も多いのは300万〜399万円で13.9%です。
そのため、美容師の年収は、全労働者の中央値に近いといえます。所得ベースで見ると、全労働者の7〜8割は年収が500万円未満です。また、700万〜799万円の割合は全体の3.5%、700万円以上をすべて合わせても10.5%程度となっています。このように、日本の労働者のなかでも、700万円以上の年収の人はごくわずかです。
カリスマ的な人気があれば到達可能
美容師で年収700万円を目指すことは、決して無謀ではありません。美容師の年収のボリュームゾーンは300万円台ですが、その先にも薄く長く広がっており、1,000万円以上稼いでいる美容師もたしかにいます。例えば、有名サロンのトップスタイリストで顧客を多数抱えていれば、年収700万円に到達するのも不可能ではありません。
また、フリーの美容師で、モデルや俳優の担当となり、カリスマ美容師として活躍しているケースもあります。
歩合制導入サロンがポイント
美容師個人がいくらがんばっても、固定給制の美容室では限りがあります。収入アップを目指す場合は、歩合制を導入しているサロンで働くことがおすすめです。店全体の売上に対して、どの程度の貢献度でいくらもらえるのか、指名料と給与の関係、基本給アップの仕組みなどに注目してみましょう。
頑張りがいのある店で働くことが収入をあげる第一のステップです。年収700万円を目標に設定した場合は、自分の働きぶりを公正に評価してくれる店が勤務先となっていることが重要なポイントとなります。
非独立系年収700万超の美容師の働き方
雇用されている側のままでも、年収700万円を超えることは可能です。
高給=ハード
年収700万円を超えるためには、人よりもハードに働くことを覚悟しなければなりません。美容師に限らず、社会で高年収の人は、総じて「働き者」です。自分が何をすべきかを良く知り実践することで、高年収に近づきます。
カリスマと呼ばれる人たちも、陰では人一倍技を磨く努力をしているでしょう。ほかの美容師と同じ行動をしているだけでは、自分の強みを伸ばしていくことができません。トップスタイリストになるのは、人並み以上にハードと考える必要があります。
重要なのはスピード&技術向上
美容師が上昇し続けるためには、スピードと絶え間ない技術の向上が求められます。インセンティブや歩合で給料を上げていくにしても、「一日のうち、どのくらいの仕事をこなせるか」が大きなポイントです。また、どれほどスピードを上げても、安定した高い技術による施術を提供しなければなりません。
店のなかで、トップのポジションを勝ち取るためには、誰よりも早く仕上げ、同時に誰にも負けない高い技術力を示す必要があります。
自店の給与&単価の関係をつかむ
店の給与体系について知ることが大切なことは、先にも伝えました。しかし、給与と客単価の関係の把握も大切です。経営者や管理者の視点で、どのくらいの単価で何人の対応をすると、売上へ貢献するのかなどを考えます。
貢献度の高い美容師であれば、店側は決して手放しません。店の売上への影響力が大きくなるのに比例して、給料も上昇していきます。
独立系の年収700万超の美容師の働き方
独立しても、年収が大幅に上がる保証はありません。ただ、給与制度が定められている店に勤務するのとは違い、自分の力量がそのまま収入に反映できる点はメリットです。
フリーランス(業務委託)
フリーランスの美容師は、面貸しや業務委託で働く美容師です。少額の資金で始められ、自分のスタイルで仕事ができます。歩合率が高く、なかには給料制でも60万〜70万円というサロンもあります。もちろん、フリーランスは雇用ではなく個人事業主という扱いです。
そのため、技量が低ければ700万円を超えることは難しくなります。しかし、店で働き続けても目指す年収を突破できる望みがない場合は、フリーランスとして自力で稼ぐ方法も選択肢の一つです。
店舗オーナー
店舗経営をして大きく稼ぐことができるかは、経営の手腕次第です。しっかりと売り上げをあげている店舗のオーナーであれば、年収700万円も夢ではありません。
ただ、オーナー自らが美容師として働く小規模サロンでは、店全体の売上にも限界があります。複数店舗で展開する場合や、大規模サロンの経営者でなければ、高額の年収にするのは難しいでしょう。十分なマーケティングや綿密な出店戦略を実施し、大成功できれば、700万円を超える年収も期待できます。
年収700万をシミュレーションしてみよう
社会的に見ても低年収の状態にある美容師の場合、どのような働き方をするにしても、漫然としていては700万円の年収は夢物語にすぎません。まずは、シミュレーションを行い、何をすれば年収を上げられるのかを理解していくことが大切です。
店の美容師のままで700万超
店で働く美容師のままで700万円を超えるためには、達成できる制度が必要です。現在働いている場合は、勤務先でキャリアパスをイメージしていきましょう。700万円を超えるロールモデルがある場合、そのモデルに近づくための工夫を考えます。
ロールモデルがない場合は、勤務先で700万円を超えることは難しいでしょう。最良の環境を求め、別の店舗への転職を検討していかなければ夢の実現は近づきません。
独力で700万超
カリスマといわれる人も、最初から有名だったわけではありません。自分の武器となる技術を探し、磨くことで高みまで登りつめたはずです。フリーランスや、開業で年収アップを狙う場合でも、頼りになるのは自分の技量です。
美容師の場合、やはりカット技術が高くないと、顧客を引きつけることは難しいでしょう。また、ある程度知名度がある美容師の場合、それぞれに独特の世界観があり、それが人を魅了する要素となっています。SNSやメディアを活用し、独自性を伝えられる発信力も同時に磨いていく必要があるでしょう。
まとめ
美容師にとって年収700万円を超えることは、高いハードルです。一般的な美容師平均年収から見ると、2倍以上となります。しかし、なかには年収700万円超を実現している美容師もいます。達成している人たちは、何がほかの美容師と違うのかを参考にして、自分なりの努力と工夫を重ねていきましょう。
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