美容師として働くには、まず美容師免許が必要です。厚生労働省が指定する美容学校で勉強したのち、美容師国家試験の受験資格が得られ、合格すると免許が取得できます。しかし、免許の申請をして登録しなければ美容師として働くことはできません。
今回は、初めて美容師免許を申請する人に向けて、具体的に申請方法を説明します。併せて、結婚などで名字が変わった場合の変更方法も説明します。
初めての申請に必要なものをチェック
美容師免許申請の手続きは、公益財団法人理容師美容師試験研修センターの公式サイトに記載されていますが、いくつかな書類が必要です。書類が不足すると、不備が原因で再提出しなければなりません。
免許申請書
まずは免許申請のため、申請書に記入が必要です。申請用紙は、合格通知書に同封されています。もし、紛失した場合は、理容師美容師試験研修センターの公式サイトからダウンロードし、印刷することが可能です。公式サイトには申請書の記入方法が書かれているため、記載内容に沿って記入してください。
住所や氏名はもちろん、合格証書に記載されている合格番号などを記入する必要があるため、合格証書を手元に用意しておきましょう。合格証書自体を送る必要はありません。もし合格証書をなくしてしまい、合格番号がわからない場合は、理容師美容師試験研修センターに問い合わせてください。
戸籍抄(謄)本や住民票を準備
自治体で発行してもらう必要のある書類は、戸籍抄本または戸籍謄本です。戸籍抄本は「個人事項証明書」ともいいます。なお、本籍地が記載されていれば、住民票でも問題ありません。ただし、発行から6か月以内でなければならず、古いものは使えないため注意しましょう。
なお、この6か月とは、申請書がセンターに届く日から逆算して6か月です。そのため、書類の提出時期や東京にあるセンターに届くまでにかかる配達日数を考慮したうえで、ギリギリに提出しないようにしましょう。
医者による診断書
「精神の機能の障害に関する医師の診断書」も必要です。様式は、申請書と一緒に公式サイトからダウンロードできます。自分で印刷した診断書を病院へ持って行き、受診したうえで医者に記入してもらう必要があります。診療科は問われておらず、精神科や心療内科でなくても問題ありません。
病院では、何の目的で診断書が必要なのか、窓口で聞かれる可能性があるため、事前に「美容師免許を申請するため」と伝えておくと、事務処理がスムーズになるでしょう。なお、診断書を書いてもらうには費用がかかります。料金は3,000〜5,000円程度と病院によって異なるため、病院のサイトを確認するか、事前に電話で料金を確認しましょう。
もし、病院から受け取った診断書が封筒に入っている場合は、自分で開封し、記載事項に間違いや漏れがないか、確認しておきましょう。また、戸籍と同様にこちらも古いものは使用できず、3か月以内に発行されたものが条件です。そのため、診断書を受け取ってから申請書を提出するまでの間を空けないようにしましょう。
この3か月も、先ほどの戸籍と同じく、申請書がセンターに届く日から逆算した期間のため、注意が必要です。
登録免許税・申請手数料の納付
美容師免許の申請には、申請手数料が必要です。内訳は、美容師名簿登録にかかる登録免許税と、申請手数料で、それぞれで支払い方法が異なります。
登録免許税は、9,000円分の収入印紙を郵便局などで購入し、免許申請書の所定の位置に貼り付けます。
申請手数料は、5,200円を郵便局の窓口かATMで所定の口座に振り込む必要があります。その際、窓口払込みの場合は受領書、ATMの場合はご利用明細書を受け取り、こちらも免許申請書に貼り付けてください。振り込みだけでは支払いしたことにならないため、注意が必要です。また、受領証は再発行されないため、紛失しないようにしましょう。
参考:理容師美容師試験研修センター「新規免許申請手続きのご案内」
申請における注意点
美容師免許の申請は車の免許などとは異なり、1度合格したら永久に資格を保持できるため、有効期限はありません。しかし、申請をしなければ美容師として働くことはできず、無免許のまま働くと、美容師法第6条の違反となり30万円以下の罰金に処せられるうえに、免許が今後取れなくなる可能性があります。
また、免許の申請から交付までは2〜4週間かかるため、試験に合格したらすぐに申請しましょう。
申請書の送り方
免許の申請に関する書類をそろえたら、封筒に入れて理容師美容師試験研修センターへ簡易書留で発送してください。簡易書留(+320円)は、宛先に到着するまでの配達状況が記録され対面での受け渡しとなります。センターに届いたかの確認は、郵便局の窓口、または公式サイトから追跡サービスから可能です。
免許の受け取り
なお、センターで申請書類一式が受理され、記述内容に問題がないことが確認されると、おおよそ2~4週間程で免許証が郵送されてきます。留守の場合は不在票が投函されるため、郵便局に連絡をして再配達の手配をします。受け取れる期間を過ぎるとセンターに返送されてしまうため、必ず期間以内に受け取るようにしましょう。
参考:理容師美容師試験研修センター「新規免許申請手続きのご案内」「免許の概要」
結婚して名前が変わったら
結婚して名字が変わっても、旧姓のまま仕事をしている人が増えてきていますが、免許に関しては変更手続きが必要です。美容師法施行規則の第3条には、免許の記載内容、つまり名簿の登録事項に変更が生じた場合は、「30日以内に名簿の訂正を申請しなければならない」と規定されています。
結婚により名字が変わった際、婚姻届や転入届などの変更手続きが必要なことは気付きやすいですが、美容師免許は普段使用しないだけに、変更の手続きを忘れがちです。罰則規定はありませんが、早めに書き換えの手続きを行っておきましょう。なお、名字以外に本籍地や性別などが変わった場合でも、同様に書き換えの手続きが必要です。
免許の変更申請にあたっては、初めての申請時と同様の書類が必要ですが、そろえるものは以下のとおりです。
- 美容師名簿訂正・免許証(免許証明書)書換え交付申請書
理容師・美容師研修センターの公式サイトからダウンロードし、印刷したものに必要事項を記入します。 - 現在の戸籍抄(謄)本または本籍が記載されている住民票
現在の戸籍の確認をするうえで必要なものです。申請日から6か月以内のものでなければいけないため、注意しましょう。 - 現在の免許証原本
紛失していて同封できない場合は、名簿訂正の項目のみ記入したうえで、別に再交付申請書も印刷し記入が必要です(免許証の書き換えではなく、再発行の扱いとなるため)。紛失している場合は、美容師名簿に記載されている本籍地や氏名などの登録事項が確認できる戸籍抄本または戸籍謄本を用意しましょう。 - 1,000円分の収入印紙
美容師名簿の登録事項変更にかかる登録免許税として、1,000円分の収入印紙(都道府県の収入証紙は不可)を郵便局などで購入し、申請書の所定の位置に貼り付けます。 - 3,750円を払い込んだ振替払込請求書兼受領証またはご利用明細票
免許証書換え交付手数料として、初めての申請時と同様の振り込み手続きを行ないます。
上記の資料をそろえたら、任意の大きさの封筒に入れて郵便局に持ち込み、理容師美容師研修センター宛てに簡易書留で発送しましょう。2〜4週間ほどで新しい免許証が自宅に届きます。
参考:理容師美容師試験研修センター「美容師 「名簿訂正 ・ 免許証書換え交付」申請に関するお手続きの案内」
まとめ
本記事では、初めて美容師免許の申請を行なう人に向けて、申請の手順や必要な書類を説明し、さらに名字が変わった場合の申請方法も説明しました。美容師として働くうえで免許は必須です。美容師免許は、年会費が必要なわけではないため、早く申請しても損にはなりません。
急に美容師として働きたいと思っても、申請から免許の受取まで2〜4週間程度かかるため、合格したあとは、できるだけ早い申請が必要です。また、万が一紛失しても、センターで再交付してもらうことができます。そのため、普段仕事で使ったり人に見せたりする機会がなくても、そのまま放置せず、すみやかに交付手続きを取ることが大切です。
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