美容師とは、国家試験に合格して免許を持っている人のことです。国家試験は美容専門学校を卒業しなければ受験資格がありません。美容専門学校には、昼間課程と夜間課程、通信課程の3種類があり、なかでも見習いとしてサロンで働きながら美容師免許取得が目指せる、夜間課程と通信課程が注目されています。
この記事では、見習いをしながら美容師免許の取得するために必要なことや取得までの流れについて紹介します。
美容師見習いの仕事内容は?
サロンの仕事を大きく分けると、接客と施術、営業の3つで成り立っており、メインは施術です。しかし、美容師見習いは、美容師免許を持っていないのでお客様の髪に触ることはできないため、施術に分類される業務は担当できません。
■サロンの業務
接客 | 席の案内・電話応対・予約管理・ドリンクの提供・店内の清掃 |
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施術 | マッサージ・シャンプー・ヘッドスパ・トリートメント・カット・カラー・パーマ・スタイリング |
営業 | ヘアケア商品の販売・チラシ配り・SNS発信 |
美容師免許が必要ない仕事
美容師免許がない見習いは、どのような業務を担当するのでしょうか。おもに、美容師見習いは接客に分類される業務を担当します。スタイリストやアシスタントが集中して、スムーズに施術を行なうためにも見習いの業務は大切です。縁の下の力持ち的な存在の見習いは、多くのサロンで必要とされています。
■見習いの業務例
レセプション | ・来店されたお客様の案内や会計、電話の対応をする受付の仕事 |
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店舗全体の掃除 | ・カット後の床に落ちている髪の毛の掃除やサロン全体の清掃、ゴミ出し |
施術の道具や備品の準備 | ・ワゴンに入れられたロッドやドライヤー、ブラシなど備品の準備 |
洗濯 | ・使用済みタオルや散髪ケープの片付けや洗濯し、乾いたものはたたみ、あるべき場所に置く |
スタイリストの補助 | ・ヘアカラーやパーマをするスタイリストのサイドに付き、施術に必要な道具を手渡す |
店舗全体の掃除は、アシスタントやスタイリストがやるサロンもありますが、見習いの仕事として任されているところが多く、率先してやると好印象です。
見習いとアシスタントの違いは?
サロンによっては、見習いのこともアシスタントと呼ぶところがありますが、一般的に見習いは美容師免許を持たない人のことです。一方で、アシスタントは美容師免許を持っている人を指します。
一人前の技術者「スタイリスト」を目指すアシスタントは、シャンプーやカラー、パーマ、ブローなど施術が可能です。しかし、美容師免許を取得しただけでは、すぐにカットができるわけではありません。
多くは、サロン側からの技術チェックをクリアしながら、シャンプーやパーマ、カットへと業務の幅を広げていきます。お客さまの髪に触ることができない見習いは、アシスタントの卵のような位置づけです。
しかし、見習いとアシスタントは、どちらも「サロンで美容師として一人前になるために日々学んでいる」という共通点があります。
免許取得を目指す美容師見習い
美容師になるためには、まず美容専門学校に入学し卒業しなくてはなりません。美容師免許取得には、年齢の制限がないため、18歳以上なら一度別の職種に就いていた人でも美容師を目指せます。
美容師を目指す人のなかには、学費や生活費のために勤めなければならない人もいるかもしれません。学びながら仕事をする必要がある人にとって、美容師見習いは一石二鳥です。
美容師免許取得するには?
美容師の国家試験は、誰でも受験できるわけではありません。受験資格があるのは、美容師法に規定された美容師養成施設、いわゆる厚生労働大臣または都道府県知事の指定した美容専門学校を卒業した人に限られます。美容師専門学校を選ぶときは、各学校で行なわれている入学説明会や、オープンキャンパスへ積極的に参加して決めましょう。
各学校によって入学条件が異なるため、自身の目標が達成できるか無理なく学べるかなど、確認が必要です。中卒者も入学できる美容学校もあり、高校を卒業していない人でも美容師は目指せます。美容専門学校は、通い方によって就学年数が違ってくるため、自身にあった通い方を選ぶことが重要です。
■美容師免許取得の流れ
美容専門学校卒業(養成施設)
昼間課程(最短2年) 夜間課程(最短2年) 通信課程(最短3年)
筆記試験/実技試験
合格
※美容師国家試験は、筆記試験と実技試験の両方合格が必要です。
一方のみ合格した場合、次回試験で合格した人は受験が免除され、不合格だった試験のみ受ければ問題ありません。もし、不合格だった場合は、再度両試験とも受験が必要です。
免許申請
国家試験に合格しただけでは、美容師免許取得にはなりません。免許証交付のために登録申請が必要です。
↓
美容師免許証交付
参考:公益財団法人理容師美容師試験研修センター「理容師美容師になるためには」
見習い期間
美容師見習いとして働く期間は、美容師の免許が取れるまで2〜3年が一般的です。美容師免許が取れたら「アシスタント」になり、見習いは終了。
美容専門学校を卒業し、すぐに美容師免許の試験に合格できれば、夜間課程に通う人は2年で、通信課程なら3年で見習いを卒業できます。美容師免許の合格率は、年度によって違いがあり、高いときは80%台、低いときは40%台と幅があるのが特徴です。
参考:公益財団法人理容師美容師試験研修センター「過去の試験実施状況」
実務経験を積みながら免許を取得
美容師の見習いは、美容専門学校に通いながら働く人が多い傾向です。美容専門学校に通うのは、「昼間サロンで働き、夜間課程に通う」「サロンでフルタイム働き、通信課程で学ぶ」の2通りが大部分を占めています。「昼間に通って夜間にサロンで働く」パターンも考えられますが、夜間の営業時間が長いサロンは少なく、「働けるサロンがない」となる可能性が大きいです。
美容専門学校の通信教育に通う
通信課程は、現場で実務経験を積みながら美容師免許資格の取得が可能です。通信課程がある美容専門学校は、全国に約200あります。授業は、定期的にレポート提出し、添削指導です。通信課程にも、スクーリング(面接授業)があるため、通学できるエリア内で選ぶとよいでしょう。スクーリングは、春と夏の年2回に行なわれており、約1〜3週間ずつ通学する必要があります。
スクーリング中は、サロンの業務に支障が出る可能性があり、願書を出す場合は勤務しているサロンに了承を得て願書を出すほうがおすすめです。通信課程のメリットには、代表的なものが3つあります。
【スクーリングのメリット】
- スクーリングの時間が半分
美容専門学校によっては、「美容サロンに常勤で従事している、もしくは入学までに美容サロンに常勤で従事する予定がある人」と入学条件があり、美容師見習いでなければ入学できないところもあります。サロンで働いてない人よりも、美容師見習いの人が入学できる学校が多い傾向です。また、見習いは通信課程のスクーリングがほかの人の半分ですみます。
具体的にいえば、美容専門学校卒業までの3年間で610時間スクーリングを受けることが必要ですが、美容師見習いであれば半分の305時間の受講となるため、有利です。 - 学び時間が多く有利
閉店後のサロンでは、カットなど施術の勉強会が行なわれることが多い傾向です。通信課程であれば、時間の融通が利くため夜の勉強会に参加ができ、お客様がいないため、日中わからなかったことを質問したり、ゆっくり教えてもらったりできるでしょう。 - 学費の安さ
多くの美容学校における通信課程の学費は、ほかの課程よりも大幅に低価格で設定されています。通学課程に比べると3分の1〜4分の1になる場合もあり、学費を抑えて学びたい人には魅力的です。
【通信課程の学費例】
校納入金
- 昼間課程(2年間)285万300円 / 通信課程(3年間) 60万円
- 昼間課程(2年間)203万6,000円 / 通信課程(3年間) 70万円
- 昼間課程(2年間)287万円 / 通信課程(3年間) 69万9,000円
参考:厚生労働省「美容師養成施設の教科課程の基準」
美容専門学校の夜間課程に通う
美容師見習いとして働きながら、短期間で美容師免許を取りたい人は、夜間部に通うのがおすすめです。通常2〜2年半で卒業できます。授業が行なわれるのは、夕方から夜までです。カットやカラー、接客マナー、経営論など美容師としての基礎を学びます。国家試験に向けた授業内容が中心です。通信課程に比べると、閉店後のカット練習などに参加できないことも多いでしょう。
しかし、夜間課程は昼間課程と同じ2年間で美容師免許の取得が可能な点は魅力です。
- 細やかな指導が受けられる少人数制
夜間部は、昼間課程よりも少人数のところが多い傾向があります。技術を学ぶうえで断然有利で、教員からしっかりと指導を受けることができるのがメリットの一つです。 - 高い学習意欲
夜間課程には、仕事をしながら通学する人が多い傾向です。学ぶ意欲が高い人が多い環境のなかで、学べるためモチベーションをキープさせて美容師免許の取得が目指せるでしょう。 - 良心的な学費設定
美容専門学校によって多少違いはありますが、学費が昼間課程よりも低価格で設定されているところが多い傾向です。通信課程ほどではありませんが、経済的な負担を抑えて学べます。
【美容専門学校の夜間課程学費例】
校納入金
- 昼間課程(2年間)228万4,000円 / 夜間課程(2年間) 166万4,000円
- 昼間課程(2年間)270万円 / 夜間課程(2年間) 192万円
- 昼間課程(2年間)196万円 / 夜間課程(2年間) 162万8,800円
まとめ
美容師見習いの仕事や、美容師見習いをしながら美容師資格を目指せる方法を説明しました。夜間課程と通信課程は、それぞれにメリットがあるため、どちらが良いとは一概にいえません。縁の下の力持ちとなる見習いは、サロンでの需要が高く、美容師の資格を目指している人であれば仕事先も見つかりやすい傾向です。
見習いで勤務したサロンに、そのまま就職できる可能性もあり、美容師見習いはプラスになるでしょう。ぜひ、見習いをしながら夜間課程、もしくは通信課程で学び美容師免許取得を目指してください。
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