鍼灸師の仕事内容
鍼灸師は、はり・きゅうを使って身体全体にあるツボを刺激し、自然治癒力を高めて病気の改善や健康を促す医療技術職です。
対象となる疾患は、頭痛や神経痛、心臓神経症、胃腸病、更年期障害、性機能障害、眼精疲労など、多岐にわたります。
鍼灸師という資格はありません。はり師ときゅう師の2つの資格があり、どちらも国家資格です。別々の資格ですが、はり・きゅうどちらの施術も行う人が多いため、一般に鍼灸師と呼ばれています。
資格を取得するためには、指定された大学や専門学校を卒業し、国家試験に合格しなければいけません。
正社員だけでなく、パートやアルバイトの求人もあり、スキルが高ければ高いほど収入が期待できるでしょう。
活躍できるフィールドは広いものの、業界全体としての求人数は少なめです。
施術によって患者の状態が回復したり、笑顔になったりする姿を見ることがやりがいにつながります。
鍼灸師に関するデータ
平均給与
免許保持者の平均給与額
はり師ときゅう師、あん摩マッサージ指圧師全体の平均給与額は平成28年で月額20万円でした。
免許保持者の月額収入分布
「第5回あん摩マッサージ指圧師・はり師及びきゅう師免許取得者の進路状況 アンケート調査報告書」(公益社団法人 東洋療法学校協会)を基にディップ株式会社が作成
開業者の平均給与額
はり師ときゅう師、あん摩マッサージ指圧師全体で、開業者の平均給与額は月額20.3万円です。
開業者の月額収入分布
「第5回あん摩マッサージ指圧師・はり師及びきゅう師免許取得者の進路状況 アンケート調査報告書」(公益社団法人 東洋療法学校協会)を基にディップ株式会社が作成
男女比
「第5回あん摩マッサージ指圧師・はり師及びきゅう師免許取得者の進路状況 アンケート調査報告書」(公益社団法人 東洋療法学校協会)を基にディップ株式会社が作成
勤務実態(平均労働時間・残業時間・休日数)
平均労働時間
鍼灸師の平均労働時間と勤務時間は、勤務先によって異なります。
一般的な鍼灸院に勤務する場合は、朝から夕方頃まで1日8時間勤務が基本です。ただし、都市部では会社帰りの患者を対象に夜遅くまで営業している店舗もあり、鍼灸師はシフト制で働くこともあります。
また、出張訪問する場合は、患者の都合に合わせて働くことも出てくるでしょう。
独立開業をすると、自分でスケジュールを組んで働けるようになります。
残業時間
残業が多いかどうかは、実際に働く職場によって異なります。
予約制を採っている鍼灸院の場合はスケジュール通りに仕事が進むため、残業時間は少ないでしょう。ただ、患者の数が多いと、営業終了後の清掃などで残業となるかもしれません。
終業後に勉強会を行う場合もあります。院全体で行う場合や有志のみで行う場合があり、勉強会の内容によっては残業となることもあるでしょう。医療技術、ひいては個人の報酬にかかわってくる大事な時間なので、できるだけ参加したいものです。
また、人によっては定期的に学会へ参加する必要があります。住んでいる地域にもよりますが、泊りがけで参加することもあります。学会で発表を行う際は、学会資料を作成するなどの準備に時間を割くこともあるでしょう。
休日数
休日数も勤務先によって変わります。
鍼灸院で働く場合は休診日に合わせて休日が設定されたり、休診日がない場合は交代で休日を取ったりすることになるでしょう。
週休1~2日としているところが多いです。土曜日に営業している鍼灸院が多いため、日曜日に加えて、平日1日または午後が休みとなる院が多くあります。
持っておくとプラスになる関連資格
はり師ときゅう師は国家資格のため、資格を保持していれば仕事に就けます。
しかし、以下で紹介する関連資格も取得すれば、キャリアへプラスに働くでしょう。
柔道整復師
捻挫や打撲、骨折、脱臼といったケガに対して整復・固定を用い、手術することなく治療を目指すのが柔道整復師です。
鍼灸による内臓、柔道整復による外傷と両側面からのアプローチが可能となります。
柔道整復師の資格も取得して、仕事に生かしている鍼灸師は多くいらっしゃいます。
あん摩マッサージ指圧師
手のひらや指を使ったマッサージを用いて、身体のこりや痛みを解消させる仕事があん摩マッサージ指圧師です。
鍼灸師が資格を持つことで、整形外科やリハビリテーション科における仕事の可能性が広がります。
健康管理士一般指導員
健康管理士一般指導員は、日本成人病予防協会が認定している資格です。生活習慣病や疾病、老化を原因とする生活困難の予防や改善を目指します。
資格を取ることで心と身体の両面から健康管理指導が可能となり、患者との信頼関係も深まっていくでしょう。
アロマセラピスト
日本アロマ環境協会が認定している資格がアロマセラピストです。
精油や皮膚科学、解剖生理学に関する知識を持ち、アロマテラピートリートメントやコンサルテーションをします。
普段の治療にアロマテラピーをプラスすることで、癒しを求めている患者への満足度アップが期待できるはずです。
鍼灸師の求人倍率
令和元年度における鍼灸師の有効求人倍率は1.27倍でした。
職種全体の有効求人倍率1.55倍と比べると低い数値です。
鍼灸師全体としての求人数は多くありません。新卒者の採用はさらに少なくなっています。
業界全体として独立開業する人が多く、また、即戦力を求める傾向が高いことが原因です。
確実に仕事に就くためには、実力を養い、上記で紹介した関連資格を取得するなどして、同業との差別化を図るなどの工夫が必要でしょう。
転職者の声
20代 男性 経験3年
さまざまな患者さんがいて、中には難しい疾患にかかっているなど対応を考えさせられるケースもあります。しかし解決したときの達成感はとてつもなく良いものです。一緒にこの業界を盛り上げていきましょう。
キャリアパターン
施設別の特徴
鍼灸師が活躍する場所はさまざまです。
施設別の主な特徴は以下のようになっています。
鍼灸院・治療院
多くの鍼灸師が働いているポピュラーな勤務先です。
身体の不調を訴える患者に対して、専門的に鍼灸治療を行います。
病院などの医療機関
内科や神経内科、整形外科などで働く鍼灸師もいます。
西洋医学だけでは対応が難しいケースに対して、東洋医学の観点から医師や看護師と協力をして治療にあたります。
介護施設
鍼灸は副作用がない治療法として知られており、高齢者にとって負担なく受けられるものです。
デイサービスセンターなどで鍼灸師を求めているところもあります。
エステサロン
美しくなりたい人に向けて、美容鍼灸を目的とした施術をしているエステサロンがあります。
美容鍼の人気が高まっていることから、エステサロンだけでなく、美容鍼のコースを設けるなどしている鍼灸院も多くあります。
スポーツジム
スポーツ選手の疲労回復やケガからの復帰などで、鍼灸を取り入れているスポーツジムがあります。
ただし競争率は高く、採用数は多くありません。
独立開業への道
鍼灸師は独立開業できる職業です。
しかし実際に開業するまでには、一定の経験を積んで、知識とスキルを高めなければいけません。経営に関する知識も必要です。
独立開業までのハードルは多々あるものの、自分の理想とした医院運営を行えるため、多くの鍼灸師が独立開業しています。
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