美容師のランクとは？それぞれの役割と仕事内容を解説

美容師が自身のキャリアパスを描く際に、どのようなポジションがあるのかわからないと、先を見通すのは困難です。美容師には、技術やスキルにしたがってランクがあり、ランクの役割や内容がわかれば、目指す場所を知ることができます。今回は、美容師のランクの詳細情報を紹介します。

美容師のランクって何？

企業内に、部長や係長などの役職があるように、美容師にもランクがあります。会社員が昇進を目指すように、美容師もまたランクアップを目指して働くことが可能です。ここでは、美容師のランクの概要を紹介します。

美容師のランク(役職名)の種類

美容師のキャリアは、アシスタントからはじまります。一人前の美容師として認められるのは、スタイリストと呼ばれるランクになってからです。その後も、技術力の向上や接客スキル、マネジメントスキルなどを身につけることで、さまざまな役職に就けるようになります。

ランクの最下位は、アシスタントもしくはアシスタント見習い、次のランクがスタイリストとなるのが一般的です。上級の役職としては、ディレクターや店長などがあります。

美容師のランクは店によって違う？

美容師も、店によって名称のランクはさまざまです。アシスタント、スタイリストまではどこも同じですが、その先にはチーフスタイリスト、トップスタイリストなど、店ごとの役職があります。店長のほかに、ディレクター、アートディレクターといった役職を設置する店もありますが、最上位のランクとなるのは、オーナーやグループの代表です。

最上位ランクの役職は、実際に美容師として施術をする場合と、完全にマネジメントのみを専門に行なう場合があります。

美容師の各ランクの役割と仕事内容

美容師の各ランクの役割と仕事内容を具体的に見ていきましょう。

アシスタント

アシスタントは、美容師としての修行期間のため、基本的な技術や接客を学ぶ期間です。同時に、アシスタントにはスタイリストのサポート役としての役割があります。店内業務は、お客さまのお迎えや、席への案内、受付・会計などです。そのほか、施術道具の準備や洗浄、店内清掃もアシスタントの仕事となります。

スタイリストのサポート業務には、カラーやパーマ補助などがあります。アシスタントといえば、シャンプーやマッサージのイメージがあるかもしれません。しかし、これらを任されるのは入社後すぐではなく、施術まわりの仕事を少しずつ覚えてからです。

スタイリスト

スタイリストになるためには、3年程度のアシスタント期間を経て、スタイリスト技術試験にパスしなければなりません。スタイリストになると、カットやパーマの全工程を一人で行なうことが可能です。

店によっては、スタイリストの前に、「ジュニアスタイリスト」というランクを配置していることもあります。ジュニアスタイリストは、スタイリストデビュー直前が多い傾向にあります。
子どものカットを担当するなどしながら、スタイリストの補助役も担います。スタイリストになると、単に技術が一人前となるだけではなく、お客さまの希望を確実にとらえるためのヒアリング力も必要になってきます。

トップスタイリスト

トップスタイリストの定義は、特に決まったものがありません。ただし、「トップ」であれば、店を代表するスタイリストの位置づけといえるでしょう。スタイリストになってから、経験を積んで確かな技術力があり、ある程度の固定客を抱えるようになった美容師だけが、トップスタイリストに昇格できます。トップスタイリストになると、指名料が高くなったり、指名が多くなったりすることも少なくありません。

そのため、カットなどの重要なポイントのみ担当し、シャンプーやヘアドライの過程はアシスタントに任せるケースが多く見られます。

ディレクター

ディレクターは、店によっては存在しない場合もあります。一般的には、トップクラスの技術を持ち、カットやカラー、パーマ、セットなどの高い知見がある美容師です。ランクとしては、トップスタイリストのさらに上にある場合が多く、アートディレクター、サロンディレクター、クリエイティブ・ディレクターなど多様な名称がつけられることもあります。

美容ショーやイベントで、総合的に美のプロディースをする際に、店のコンセプトを打ち出した作品を演出する力を持つ美容師です。

店長

店長は、美容師と同時に、経営的な視点を持つ存在です。店舗経営を統括しながら、美容師として施術を行ないます。チェーン店の店長と個人店のオーナーでは、多少役割が異なりますが、いずれも人事管理やコスト管理に対しての責任を持つ立場です。

美容師のランクと収入

美容師のランクと、気になる収入を見ていきましょう。

ランクと年収の目安

美容師の各ランクの収入を詳しく調査したデータはありませんが、ジョブカフェ北海道が提供している「美容師のキャリアイメージと年収例」で、おおよそのランクと年収の目安を見ることができます。美容室チェーン店の年収の例は以下のとおりです。

この年収例では、ディレクターの記述がありません。しかし、店長の上にチェーンのマネジメントを行なうマネジャーがいて、年収は約400万〜500万円です。マネジャーの場合は、直接施術をする機会が少なくなると考えられますが、美容師のキャリア上にあるポジションといえます。

ランクとインセンティブの関係

美容師のランクと収入を考えるうえで、忘れてはならないのがインセンティブです。多くの美容室では、基本給にプラスして歩合やインセンティブを付加する制度を採用しています。歩合とは、お客様一人あたりの施術で得られる売上に対して、一定の割合に応じた報酬です。インセンティブは、月の目標総売上が達成されたときなどに、ランクに応じた報酬が支払われることを言います。

いずれの場合も、技術の高い美容師には、たくさんの指名料が入る傾向です。そのため、店の売上への貢献度がアップし、ランクが高いほどインセンティブも高額化するといえるでしょう。

美容師がランクアップするためには

美容師にとってランクアップを目指すことが、仕事のはげみとなります。ランクは、技術向上の証となり、店のなかでの重要性を示すものです。美容師がランクアップするためのポイントを紹介します。

練習量と熱意

美容師のランクアップに関しては、売上や指名数などを基準とする美容室が多く見られます。そのため、ランクアップするためには、お客さまから支持される美容師となることが重要です。普段の努力による技術力の向上と、美容師として仕事に対する熱意が求められます。お客さまの要望に熱心に向き合い、それを形にしていく腕があれば、自然と指名は増えていくでしょう。

技術だけでは不十分？

ランクアップしていけばいくほど、自分を取り巻く環境も変化していきます。アシスタント時代とは違い、自分にあこがれ、慕ってくれる美容師も増えていくでしょう。美容師として技術を高めることはもちろん重要です。しかし、上の立場になれば、人間関係も複雑になるため、人間的な厚みも増していく必要があります。多様な意見にも耳をかたむけ、真摯な態度を忘れず、周囲との調和を尊重する姿勢が大切です。

店への貢献度が重要

美容師がランクアップするためには、店への貢献度が重視されます。いくら技術が高くても、高慢な態度の美容師がいる店では、客を減らしかねません。店全体の売上アップを意識し、自身の接客スキルを向上させるとともに、下の立場にいるスタッフへの適切な指導を行なっていくことが大切です。自分だけでなく、周囲に配慮していけば、マネジメント能力を養う機会にもなります。

将来に向けたキャリアパスを視野にいれたとき、幅広い視点を持つ体験が役に立つでしょう。

まとめ

美容師には、さまざまなランクがあり、美容師としての力量となります。一段階ずつ自分を高めていくことで、大きな自信と誇りが得られるでしょう。また、ランクアップとともに、収入のアップも期待できます。美容師にとって技術力は、何にもまして必要となる最大の武器です。まずは、練習と経験を重ねて、ランクアップを目指していきましょう。

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