看護師になるためには、専門学校などへ進学して必要なカリキュラムを受講しなくてはなりません。進学する上で気になることの一つが学費ではないでしょうか。看護師になりたいけれど、どのくらい費用がかかるか気になっている方もいるかもしれませんね。
そこで今回は、看護師になるにはどのくらいの費用が必要なのか、平均的な学費や奨学金制度などについてまとめました。社会人・主婦の方が看護師を目指す場合に利用できる制度についても紹介していますので、参考にしてくださいね。
看護師になるにはどうしたら良い?
学費について説明する前に、まずは看護師になるにはそもそもどうしたら良いのかについて確認しておきましょう。
高校を卒業した方が看護師になる場合、大学(4年)、短期大学(3年)、専門学校などの看護師養成所(3年)、のいずれかに進学して必要な教育を受けなくてはなりません。その上で看護師国家試験を受験し、合格すると看護師免許を取得することができます。
資格を取得するためのルートや国家試験について詳しく知りたい方は、こちらを参考にしてください。
看護師になるために必要な資格とは?資格の種類や取得方法について解説!
看護師の国家試験の難易度とは?試験内容や受験資格について解説!
看護師になるために必要な費用は、どの学校に進学するかによって差が出てきます。具体的にどのくらいの費用が必要になるか、次で詳しく説明していきましょう。
看護師になるために必要な費用
ここからは、看護師になるために必要な学費の平均的な金額について、学校の種類ごとに説明します。
一般的な学費の内訳は、以下の通りです。
- 入学金
- 授業料
- 施設設備充実費
- 実習費
- テキスト、教材費
入学金は初年度のみですが、それ以外は毎年費用がかかります。これらのほか、実習に必要な白衣や実習中の事故等を補償するための保険料など、さまざまな費用がかかることが考えられます。
また、実習に必要な勉強や国家試験対策などのために、専門書を購入したり、予備校の講習へ行ったりする方もいます。看護師になるためには、学費プラスアルファの費用が必要になることを念頭に置いておきましょう。
学費以外にも進学先によって卒業までに必要な年数や学ぶ内容など、いろいろな違いがあります。どちらが良いか迷う方は、以下の記事も参考にして検討してみてくださいね。
看護師になるには大学と専門学校どっちに進学するべき?それぞれの違いやメリットを解説!
ここからは具体的にどのくらいの費用がかかるのか、学校の種類ごとにみていきましょう。
看護専門学校の学費
公益社団法人東京都専修学校各種学校協会が行った調査によると、看護専門学校の平均的な学費は以下の通りです。
- 入学金:17万8,000円
- 授業料:67万9,000円
- 設備費:13万1,000円
- 実習費:3万7,000円
- その他:6万1,000円
3年間通学することやテキスト代等も必要になることを考えると、費用はトータルで300万円以上必要になることが想定されます。
ただし公立か私立かなど、学校によって費用が大きく異なります。公立の場合トータル100万円台で学費を抑えられることもあるので、希望する学校の情報をしっかりと確認しておくようにしましょう。
参考:公益社団法人東京都専修学校各種学校協会「令和2年度 学生・生徒納付金調査」
看護大学の学費
看護大学は国立、公立、私立のどこに進学するかによって費用が大きく異なります。
入学金 | 授業料 | 施設設備費 | |
---|---|---|---|
国立 | 28万2,000円 | 53万5,800円 | ※データなし |
公立 | 地域内:23万347円 地域外:39万3,618円 |
53万8,633円 | ※データなし |
私立 | 26万7,041円 | 91万6,184円 | 23万9,071円 |
国立大学の学費は国によって定められているため、上記から大きく変わることはありません。ただし近年は独自で学費を設定する大学も出てきているため、事前に確認しておきましょう。
公立大学は、各大学によって多少の差があります。またその地域内から入学するか、地域外から入学するかによって入学金が異なります。国立・公立いずれも、4年間の授業料だけで200万円超が必要です。
私立大学は医学部看護学科を含む保健学部の平均値です。4年間の授業料と施設設備費で400万円以上かかることがわかります。
それぞれ、上記に加えてテキスト代や実習費などが必要になるため、多めに見積もっておいた方が良いでしょう。
参考:文部科学省「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」 /「平成30年度学生納付金調査結果」 /「令和元年度 私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」
看護短期大学の学費
看護短期大学は全国的に少なく、国公立の短期大学はありません。ここでは、私立短期大学の費用の一例をご紹介します。
- 入学金:30万円
- 授業料:75万円
- 設備費:35万円
- 実習費:25万円
上記の例だと、費用は3年間トータルで400万円以上かかります。これにプラスしてテキスト代や白衣代等も必要です。専門学校と同じくらいか、あるいはそれ以上の額が必要になることも考えられます。
短期大学はこれまでも4年制大学化が進んできており、それに伴って国公立の短期大学はすべて廃止されました。私立短期大学も多くが4年制大学へ移行しているため、今後も同様の動きが見られるかもしれません。
奨学金制度の活用も視野に
看護師の資格を取るためとはいえ、負担する費用はかなりの額になります。費用負担に関して心配や不安がある、できるだけ負担を軽くしたいという方は、奨学金制度の活用も検討してみると良いでしょう。
奨学金の種類
看護師を目指す方が利用できる奨学金にはいくつか種類があります。
例えば、「日本学生支援機構奨学金」はこれから進学する高校生や在学中の学生を対象としたもので、返済不要の給付奨学金と、返済が必要な貸与奨学金があります。いずれも要件を満たす必要があるため、申し込み前に確認が必要です。
また、病院を運営する法人などが独自に奨学金制度を設けていることもあります。卒業後、その法人などで一定期間就労すれば、返還が免除となる仕組みになっているところも多いです。卒業後の進路は限られてしまいますが、費用負担を減らすことが可能です。
都道府県や各自治体で設けられている、看護師を目指す方向けの奨学金制度もあります。卒業後、対象となる医療機関で一定期間就労すれば、返還の義務が免除されることが多いです。
その他、学校独自の奨学金制度等を設けている場合もあります。まずは進学を希望する地域や学校の情報を確認しておきましょう。
参考:独立行政法人日本学生支援機構「奨学金」
奨学金の注意点
奨学金制度は、費用の不安を軽減して学業に専念するために必要なものですが、利用する制度によって内容は異なります。金額はもちろん、給付か貸与か、申し込み資格、返還義務が免除される条件など、事前に確認しておくことが重要です。
貸与型の場合、卒業後に少しずつ返済していかなくてはなりません。毎月いくら、どのくらいの期間、返済する必要があるのかについても、あらかじめ知っておく必要があります。
卒業後に返済で困ることがないよう、きちんとシミュレーションしておきましょう。
社会人でも看護師になれる?
すでに高校や大学を卒業している社会人の方や主婦の方でも、看護師を目指すことは可能です。資格取得や学校への入学に年齢制限等はないため、いつからでも看護師になることはできます。
ただし学校の授業や実習は平日の日中に行われるため、働きながら通学することは難しいです。一部定時制の学校もありますが、夜間ではなく午後の授業なのでフルタイムでの勤務は困難でしょう。そのため社会人の方が看護師を目指す場合、学費だけでなく通学中の生活費についても考えておく必要があります。
専門実践教育訓練給付金
働いていた経験のある社会人の方は、費用負担を軽減する制度として「専門実践教育訓練給付金」が利用できます。これは一定の要件を満たした方であれば、学費など必要な教育訓練費の50%(年間上限40万円)が国から支給されるものです。給付期間は原則2年で、申請に基づいて半年ごとに支給されます。
さらに卒業後1年以内に資格を取得して就職すれば、20%の追加支給(合計70%、年間上限56万円)を受けられます。追加支給の申請は、雇用された翌日から1ヶ月以内に行わなくてはなりません。
給付を受けるためには、雇用期間など必要な要件がいくつかあります。利用可能かどうか知りたい方は、お住まいの自治体のハローワークで確認してみると良いでしょう。
参考:厚生労働省「専門実践教育訓練給付金に関するよくあるご質問」 /「専門実践教育訓練の給付金のご案内」
社会人入試制度
学校に入学するためにはもちろん入試をクリアしなくてはなりません。社会人の方が改めて受験勉強をするのは大変ですが、社会人入試を利用するという方法もあります。
社会人入試には専用の定員が設けられている、試験科目が少ないなどのメリットがありますので、希望する学校の入試制度をまずは確認してみてください。
看護師を目指したい主婦の方は、こちらの記事も合わせて参考にしてみてください。
主婦が国家資格を取って看護師になるには?看護助手や准看護師を目指すのはあり?
まとめ
看護師になるには費用がかかるものの、資格はとても役に立ちます。看護師の資格は一度取得すれば長く活用することができ、さらに高齢化の進行などから看護師のニーズもより高まっていくことが考えられ、社会的に必要とされる資格です。
看護師の給与は比較的高く、費用がかかったとしてもその分しっかり稼ぐことができます。資格取得後のキャリアアップも可能で、仕事としてもやりがいを持つことができます。費用はかかる分、看護師になることは価値のあることだといえるでしょう。
バイトルPROは看護師を目指すみなさんを応援しております。
ライター 小松亜矢子
地域看護に関心のあるライター。看護師の資格を持ち、地域でコミュニティナースとして活動中。
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