外国人の患者さんに接する機会が増えるにつれて、「英語でコミュニケーションをとれるようにならなくては」と感じている看護師の方は多いのではないでしょうか。
あるいは今はそれほど必要性を感じていないものの、将来に向けて英語力を身に付けておくべきなのか、悩んでいる方もいることでしょう。
そこでこの記事では、看護師の現場における英語力の必要性と、すぐに使える英語のフレーズを場面別に紹介します。英語に関する資格の情報も掲載していますので、ぜひスキルアップに役立ててください。
看護師の現場で英語力は必要?
まず、看護師に英語力が必要かどうかを考えてみましょう。
出入国在留管理庁が発表した「令和元年末現在における在留外国人数について」によると、令和元年末の在留外国人の人数は約293万人で、過去最高の人数となりました。
現在は、新型コロナウイルス感染症の影響で、一時的な減少が見られるものの、在留外国人の人数はここ数年にわたって増加傾向にあります。それにともない、看護師が外国人の患者さんと接する機会も増えています。
現在のところ、日本の医療機関で働く看護師にとって、英語力は「必須スキル」というわけではありません。しかし、日々の業務に関連する英語表現を学び、英語でのコミュニケーションスキルを身に付けておけば、外国人の患者さんが来院した際に重宝されます。
英語を聞き取って話すことができれば、患者さんの日本語スキルがそれほど高くない場合でも、症状や来院理由を理解でき、適切な看護を届けられるようになるでしょう。
また、看護師として就職・転職する際に、英語力が有利に働くケースもあります。現時点では看護師の必須スキルでないとはいえ、英語力を身に付けておくメリットは大きいといえます。
看護師の現場で使える英語のフレーズ集
それでは、看護師が身に付けておきたい実践的な英語フレーズを紹介します。受付・問診・診察・検査・バイタルサインの、5つのシーンで使える便利な表現を見ていきましょう。
受付時に使えるフレーズ
異国の病院に行くのは、誰でも緊張するものです。外国人の患者さんが来院されたら、しっかりと相手の目を見て笑顔で挨拶するところから始めましょう。
- Good morning! / Good afternoon! / Good evening! (おはようございます!/ こんにちは!/ こんばんは!)
- Do you have an appointment? (ご予約はされていますか?)
- Have you ever been here before? (こちらに来院されたことはありますか?)
- Do you have your health insurance card? (健康保険証をお持ちですか?)
問診時に使えるフレーズ
続いて、問診で患者さんに症状を尋ねるフレーズを見ていきましょう。
- What brings you here? / What seems to be the problem? (どうされましたか?)
- Where does it hurt? (どこが痛みますか?)
- When did it start hurting? (いつ痛くなりましたか?)
また、既往歴、家族歴、アレルギーや服薬の有無を尋ねるフレーズも押さえておきましょう。
- Have you ever had any major illness before? (これまでに大きな病気をしたことはありますか?)
- Has anyone in your family ever had the same illness? (ご家族で同じ病気にかかったことのある方はいらっしゃいますか?)
- Do you have any allergies? (何かアレルギーはありますか?)
- Do you take any medication? (何か薬を飲んでいますか?)
診察時に使えるフレーズ
次に、診察の補助の際に使えるフレーズを紹介します。
- Let's take a look at your throat. (のどを見せてください。)
- Please pull up your undershirt and show your chest. (シャツをまくり上げて、胸を見せてください。)
- Please breathe slowly. (ゆっくりと呼吸してください。)
- Please lie on your [back / stomach / side]. ([仰向けに/ うつ伏せに/ 横向きに]なってください。)
検査時に使えるフレーズ
ここからは、採血や採尿など、検査の際に使う表現を挙げていきます。ご自分の職場でよく実施される検査の、定番のフレーズを覚えておくとよいでしょう。
採血
- I am going to take a blood test. (採血をします。)
- Have you ever felt sick during a blood test? (これまでに採血で気分が悪くなったことはありますか?)
- Have you ever developed a rash because of rubbing alcohol? (消毒用のアルコールでかぶれたことはありますか?)
- Please put your arm here. (ここに腕を置いてください。)
- Make a fist with your thumb inside. (親指を中にして手を握ってください。)
- This might prick a little. (少しチクッとするかもしれません。)
- Please open your hand and relax. (手を広げてリラックスしてください。)
- Please press here for five minutes. (ここを5分間押さえていてください。)
採尿
- We'll run a urine test. (尿検査をしましょう。)
- Please fill this cup to the line with urine. (カップのこの線まで尿を取ってください。)
- Please collect the midstream urine. (中間尿を取ってください。)
レントゲン
- Are you pregnant? / Is there any possibility that you are pregnant? (妊娠していますか?/ 妊娠の可能性はありますか?)
- Please disrobe and put on this gown. (服を脱いで、このガウンを着てください。)
- Please remove your metallic accessories. (金属製などのアクセサリーは外してください。)
- Please breathe in and out slowly. (ゆっくり息を吸ったり吐いたりしてください。)
- You can relax now. (楽にしてください。)
エコー
- Please expose your abdomen. (お腹を出してください。)
- Let me put the gel and the probe on your abdomen. (お腹にゼリーを塗って、エコーをあてます。)
- I'm going to clean up your abdomen. (お腹をきれいにします。)
検査後
- The doctor will inform you of the results at your next visit. (次の診察で、医師が結果をお伝えします。)
- Please take care. (お大事になさってください。)
バイタルサインで使えるフレーズ
体温や脈拍、血圧を測るときには、以下のような表現を使います。
- I'm going to take your [temperature / pulse / blood pressure]. ([体温/ 脈拍/ 血圧]を測ります。)
- Your [temperature / pulse / blood pressure]is ◯◯ . (あなたの[体温/ 脈拍/ 血圧]は◯◯です。)
- It's just within the normal range. (正常範囲内です。)
- Thanks for your cooperation. (ご協力ありがとうございました。)
英語に関する資格の取得でスキルアップも!
英語のスキルを上げるために、資格取得を目指すのもおすすめです。資格は学習のきっかけになるだけでなく、就職・転職の際にも役立ちます。
勤務先によっては、資格取得支援制度が設けられている場合もあるので、そうした制度があれば積極的に活用しましょう。
TOPEC 看護英語試験
特定非営利活動法人プロフェッショナルイングリッシュコミュニケーション協会が行なっている「職業分野別英語コミュニケーション試験(TOPEC)」のうち、看護分野の試験です。
看護業務で使用しうる、基本的な英語の能力を測定する試験で、試験問題でも看護の現場が舞台になります。資格取得を目指せば、実務ですぐに使える知識とスキルが手に入るでしょう。
試験では、看護現場における専門用語や文法表現、会話などについて、「聞く」「書く」「読む」能力が問われます。看護分野をカバーする、幅広い英語スキルを身に付けたい方におすすめです。
公式サイト:https://nurse.ipec.or.jp/topec/
日本医学英語検定試験(医英検)
日本医学英語検定試験(医英検)は、日本医学英語教育学会が行なっている、医学・医療に特化した英語試験です。現場で求められる実践的な英語力を身に付けたい方におすすめです。
試験は、難易度別に以下の4レベルに分かれております。
- 基礎級(4級)
- 応用級(3級)
- プロフェッショナル級(2級)
- エキスパート級(1級)
このうち看護師が英語で医療に従事できるレベルと認められるのは、応用級(3級)です。基礎級(4級)は選択式の筆記試験のみ、応用級(3級)ではそれに加えてリスニング試験が課されます。
公式サイト:https://jasmee.jp/epemp/
TOEIC
一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会が主催するTOEICは、日本で特に知名度の高い英語資格です。大きく分けて、リスニングとリーディングのスキルを測る「TOEIC L&R」と、スピーキングとライティングのスキルを測る「TOEIC S&W」の2種類があります。
TOEICの試験では、医療機関に限らず、日常生活やビジネスの現場で使われる英語が題材となります。合否ではなくスコアで能力を判定するのが特徴で、履歴書に書くメリットがあるのはL&Rで600点以上、S&Wの場合は、スピーキングとライティングが各130点以上だといわれています。
TOEICは、基礎的なビジネス英語を幅広く身に付けたい方や、英語力の指標となる資格を探している方におすすめです。
公式サイト:https://www.iibc-global.org/toeic.html
まとめ
近年の日本では、外国人の受け入れが進んでいることから、外国人の患者さんへの対応が必要な機会もますます増えていくと考えられます。
看護師が英語でのコミュニケーションスキルを身に付けておけば、日本語があまり得意でない患者さんが来院したときにも、症状や来院理由をしっかりと把握し、適切な看護を届けられるでしょう。
今回紹介したフレーズから、日々の業務で役立ちそうなものを少しずつ覚えてみてください。英語に関する資格もうまく活用しながら、スキルアップを目指すとよいでしょう。
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