看護師は大変やりがいのある職業ですが、看護師として働いていると、時々「辞めたい」と感じることがあるかもしれません。辞めたいと思う理由は、人間関係のストレスや体力的な辛さ、勤務時間の不安定さなど、人それぞれ異なるでしょう。
この記事では、看護師を辞めたいと感じる理由や理由別の対処法、今の職場を辞めて転職する場合のポイントなどについて解説しています。「看護師を辞めたいと思うもののどうして良いかわからない」「本当に辞めて良いのか悩んでいる」という方にとって、役立つ内容となっています。
看護師を辞めたい......まずはその理由をはっきりさせよう
まずは、自分が看護師を辞めたいと感じている理由はどこにあるのか、以下の例を参考にはっきりさせてみましょう。
人間関係のストレス
看護師の仕事に限らず、どのような仕事においても人間関係のストレスは辞めたい理由につながりやすいものです。「合わない方が職場にいる」「相談できる方がいない」といった悩みを一人で抱えてしまうと、ストレスを感じやすいでしょう。
仕事が向いていない
看護師になって間もない頃は、いつまで経っても業務に慣れず、看護師の仕事が向いていないと感じやすいものです。「同僚はうまくできるのに私はできない」「ミスが多く怒られてばかりいる」といった状況が続くと、次第に「自分は看護師に向いていないのでは?」と考え始めることが増えてくるかもしれません。
体力的な辛さ
患者の移動やサポートなどのケアといった力仕事も多く、看護師は体力的にハードな職業です。たとえ力仕事が少なかったとしても、集中力が必要な業務が続けば、疲れも大きくなるでしょう。
また、どれだけ頑張っても仕事が終わらないと「看護師の仕事は好きだけど、体力的にもたない」と感じるケースも少なくありません。
当直(夜勤・休日出勤)が辛い
当直(夜勤・休日出勤)があると規則正しい生活や睡眠時間の確保が難しくなり、同じ時間働いていても疲れやストレスを感じやすくなります。人手不足で休日出勤が増えると、「十分な休息をとれない生活から解放されたい」と思う機会が増えていくでしょう。
シフトの不安定さ
決まった曜日や時間に休みがとれないなど、不安定なシフトが続けば、休日の予定を立てづらくなります。友人と会う約束や旅行・食事の予約をしても、シフトのせいで泣く泣くキャンセルした経験を持つ方も少なくないでしょう。
嫌がらせやパワハラ
看護師の仕事にやりがいを感じていても、職場に嫌がらせやパワハラをする上司や同僚がいる場合、強いストレスを感じてしまいます。単に相性が合わないという問題よりも深刻であるため、もし相談できる環境にない場合は、転職について前向きに検討したほうがよいかもしれません。
給料への不満
「長時間働いている割には給料が少ない」「他の職場と比べて待遇が良くない」など、金銭的な不満も転職を考えるきっかけとなるでしょう。
残業代の未払い
病院によっては、残業代が支払われない職場もあるかもしれません。残業代がカウントされないと給料への不満が強くなる原因となり、働くモチベーションを保つことが難しくなるでしょう。
その他
この他にも、家族やプライベートなど、仕事以外の環境が変わって同じ条件で働くことが困難になる場合があります。「別の仕事に興味が出てきて、チャレンジしたい気持ちが強くなった」「心身ともに限界となっている」などの理由で看護師を辞めたくなることも考えられます。
また、辞めたい理由が1つだけでなく複数ある、という場合もありえるでしょう。
看護師を辞めたい理由ごとの対処方法
上記のような理由で看護師を辞めたいと思う場合、どのように対処すればよいのでしょうか。転職に向けて動き出す前に、以下の方法を参考にしてみましょう。
人間関係のストレスの場合
人間関係にストレスを感じている場合、今の職場を辞めて転職したとしても、現在とは異なる人間関係でストレスを感じる可能性はゼロではありません。
「言い方や態度が苦手だ」「何となく合わない」といった程度のストレスであれば、人間関係を改善することは可能です。相手に良い面がないか、自分の態度が頑なになっていないか、といった点に一度目を向けてみましょう。現在は辛くても、関わり方を見直すことで、苦手な人が信頼できる人へと変化するかもしれません。
仕事が向いていない場合
小さなミスが連続したり、大きなトラブルの原因を作ってしまったりすると、「自分は看護師として向いていないのではないか」と不安に感じるかもしれません。しかし、どれほど長く働いていて役職に就いているような看護師であっても、ミスはするものです。
ミスやトラブルの原因はさまざまです。自分自身の不注意だけで起こりうるものではなく、教育や職場の連携、チェック体制などに問題があるケースも十分に考えられます。誰しも向き・不向きがあることは事実ですが、「向いていないかもしれない」と思うだけなら、転職した先でも同じように感じるかもしれません。
仕事が向いていないと感じたら、「ミスや失敗の原因をリストアップする」「改善に必要な業務を追加する」「直属の先輩に相談してみる」といった方法を試してみましょう。起きてしまったミスに対して、必要以上にクヨクヨしないことも大切です。
体力的な辛さの場合
看護師の仕事は好きなのに、体力的に辛くて辞めたいと感じているなら、一度休息を意識的にとるようにしてみましょう。
良質な睡眠をとれる環境で寝ることや、休日に遊びの予定を詰め込みすぎないこと、バランスのとれた食事をとることなどが大切です。入浴やストレッチなど、リラックスできる時間を多く持ってみるのもよいでしょう。
限られた時間でも、良質な休息と栄養がとれると体力の回復は早まります。こうした方法を試してみてから転職を考えても、決して遅くはないでしょう。
当直(夜勤・休日出勤)が辛い場合
当直が辛い場合は、生活リズムを整える工夫をすると辛さを軽減できるかもしれません。
例えば、夜勤明けで帰宅後に寝る場合は昼頃までに一度起床し、夜にあらためて睡眠をとるようにするとよいでしょう。
生活リズムを改善すると体内時計が狂いにくくなり、辛いと感じることが軽減されます。体内時計を正常に保つためにも、昼間は活動して夜に寝ることをできるだけ心がけてください。
また、休日出勤や夜勤の回数が多いと感じる場合には、シフトを変更できないか相談してみることも大切です。転職先でも、人手不足や患者の受け入れ状況などで、急に夜勤が増える可能性もあります。当直の辛さだけで転職を考えるのはもったいないといえるでしょう。
シフトの不安定さの場合
シフトが不安定だと感じる場合は、それが一時的なものなのか、今後改善していく可能性があるかを職場に確認してみましょう。
シフトについて上司に相談したものの「休みの希望が何ヵ月も受け入れてもらえない」「今後も改善する見込みがない」といった場合には、転職を検討してみてもよいかもしれません。
嫌がらせやパワハラの場合
嫌がらせやパワハラを受けていると感じる場合は、改善してほしい旨を伝えましょう。それでも改善が期待できない場合は、心が折れる前に転職に向けて動き出すことをおすすめします。
給料への不満の場合
給料に対して不満がある場合は、はっきりとした額を提示して認められないのであれば、希望条件を満たしている転職先を探してみてもよいかもしれません。
ただし、転職する前に十分にリサーチすることが大切です。長時間働いていて給料が安いと感じて転職した場合、転職先で待遇が上がっても、さらに仕事が忙しくなる可能性もあります。
そうした不安を解消するためにも、収入が現在の職場よりも少なくなったとしても短時間勤務を希望するのか、仕事量が増えても高い給与を望むのか、現在の職場で交渉できる余地があるか、などの確認も十分に行ないましょう。
残業代の未払いの場合
残業代の未払いがある場合、正当に請求できるかどうか、転職する前に必ず確認しましょう。また、残業代の未払いが発生した時点で、早い段階で確認することも大切です。
少しの期間休みたい場合は休職も検討を
一般的な病院であれば、就業規則のなかに休職に関する取り決めがあります。
休職の取得に値するだけの事情や理由がある場合に限るものの、就業規則に従って休職が可能です。
上司や同僚との人間関係や、患者のケアをするうえでのストレスによって出勤するのが辛い場合は、退職や転職ではなく休職する方法もあります。休職中は、満額ではないものの、給料を受け取ることが可能です。
厚生労働省などでは、メンタルケアや求職者ケアなどの窓口を設置していますので参考にしてみるのもよいでしょう。
厚生労働省|みんなのメンタルヘルス総合サイト 治療や生活へのサポート 仕事~働くための支援、休職からの復帰支援など~
看護師が転職するときに後悔しないためのポイント
看護師が転職する際には、以下のポイントをチェックして後悔しない選択をしましょう。
給料やボーナスなどの待遇だけで決めない
転職を決意するのなら、自分が今の病院を辞めたいと思った悩みを解消できる病院に転職する必要があります。そうでなければ、転職先でも同じ理由で悩んでしまうかもしれません。
もちろん、収入は生活を安定させるために重要な要素です。しかし、労働条件の良い場合は何らかの理由があることも考えられるため、待遇面だけで決めてしまわないように注意しましょう。
職場見学をさせてもらう
転職する場合は可能であれば、実際に働く職場を見学させてもらうようにしましょう。ハードな労働条件の職場でも「意外と気にならない」と思う場合もあれば、アットホームで働きやすいと聞いていても「自分には合わなさそう」と感じる場合もあります。
事前に職場見学ができれば、そこで働く際のイメージや雰囲気もつかみやすいでしょう。
面接の際に不安を打ち明ける
面接を受ける際、基本的には志望動機などをポジティブな内容に置き換えることが大切です。ただし、転職先でも同じ問題が起きないかという不安が残る場合は、その不安を正直に打ち明けたうえで、「ここの病院はどのような環境なのか」と質問を投げかけてみるとよいでしょう。
また、面接で不安を打ち明けたり質問したりする場合は、伝え方にもポイントがあります。「○○は困る」「○○はしたくない」などのネガティブな言い方よりも、「○○を希望します」「○○な環境で働くことは可能でしょうか」といった前向きな表現を使うとよいでしょう。
口コミサイトをチェックする
転職先を確認する際は、口コミサイトをチェックするのもおすすめです。元従業員の口コミはもちろん、患者の口コミもチェックしておくと、どのような病院なのかがより理解できるでしょう。
まとめ
看護師の仕事を辞めたいと思ったら、まずは辞めたい理由をはっきりとさせることが大切です。そのうえで、理由ごとに対処法がないかをチェックし、改善できるかを試してから転職を決めても遅くはありません。
また、転職する際には同じ問題で悩むことがないよう、十分にリサーチして次の職場を決めましょう。
公的機関では、メンタルケアや求職者ケアなどの窓口が設置されています。上司や同僚へ相談しにくい方は一人で悩まず、こういったサービスの利用も検討してみてください。
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