看護師は、患者さんに寄り添って心と体のケアをする、やりがいのある仕事です。
この記事を読んでいる人のなかには、主婦になってから看護師という職業に興味を持った方もいるのではないでしょうか。しかし、「家事や子育てをしながら看護師になれるのか」「そもそも主婦から看護師になれるのか」と不安を感じることがあるかもしれません。
そこでこの記事は、主婦から看護師になるためのルートを確認しつつ、家庭との両立や学校選びのポイントを解説していきます。
主婦が看護師になるにはどうすればいい?
看護師には、資格が必要な正看護師と准看護師、資格のいらない看護助手があります。一般的に"看護師"といえば正看護師を指しますので、以下からは正看護師を"看護師"として、それぞれどのような学校に通い、何をする必要があるのかを詳しく解説します。
看護師になるには
看護師(正看護師)として働くためには、文部科学大臣が指定している看護大学を卒業、あるいは以下の学校で3年以上の教育を受けたうえで、例年2月中旬に実施される看護師国家試験に合格しなければなりません。
- 看護短期大学(3年制)
- 看護専門学校(3年制)
- 高校の看護科(5年一貫校)
看護に関する学校を卒業していない場合は、まず看護学校に3年以上通うことが必須要件です。つまり、実際に看護師として働けるタイミングは、最短でも3年先となります。
学校に通う場合は当然ながら学費もかかるため、経済状況によっては金銭面が厳しくなるかもしれません。しかし、日本看護協会が2020年3月に発表したデータによれば、看護師の初任給は平均額約27万円と、他の業種と比較しても高水準です。
参考:日本看護協会調査研究報告 2019 年 病院看護実態調査|日本看護協会
看護師になることができれば、世帯収入は大きく増えるため、かかる時間とお金に見合うだけの価値はあるといえるでしょう。
なお、看護師の初任給については、以下の記事でも詳しく解説しています。
看護師1年目の初任給・手取り・ボーナスはいくらもらえる?学歴や病院によって年収はどれくらい違う?
これから准看護師になるのはあまりおすすめしない
看護師には、先述した要件が求められる「正看護師」のほか、2年間の通学で取得できる「准看護師」という資格もあります。
准看護師とは、おもに医師や看護師から指示を受け、患者さんのケアや診療のサポートなどを担当する立場です。看護師との大きな違いは、准看護師は医師や看護師の指示なしで、医療行為を行なえない点にあります。
しかし、公益社団法人日本看護協会は「准看護師養成の停止」を目指しており、准看護師養成所から看護師養成所への転換を進めています。
この背景には、少子高齢化などの影響で看護の対象者が日々増加しているなか、准看護師を育てるのに十分な教育体制を整えられていない現状があります。
看護師への一本化が検討されている背景を踏まえると、これからは1年多く学校に通ってでも「正看護師」の資格取得を目指すほうが賢明といえるでしょう。
看護助手であれば資格不要
看護助手とは、看護師のサポートや患者さんのお世話を担当する職種です。看護師と違って資格は不要なため、学校に通わなくても就職できます。
看護助手のおもな仕事は、患者さんの食事の介助、看護師のサポートなどです。また、資格を持っていないため注射や採血などの医療行為はできません。仕事の幅が狭いため、看護師と比べると給料が低い傾向があります。
しかし、学校に通う時間やお金の確保が難しい場合は、まずは看護助手をしてみて医療現場での経験を積んでから看護師を目指すのもおすすめです。
家事や子育てをしながら学校に通うことはできる?
看護師になるには、最低でも3年以上は学校に通う必要があります。そのため、主婦にとっては、家庭との両立が大きな悩みどころではないでしょうか。
実際に、家事や子育てをしながら通学はできるのか、事例も交えて解説します。
看護学校の一日のスケジュール
看護学校では、実習の有無によって一日のスケジュールが異なります。スケジュール例を2パターンに分けて紹介するので、入学後の自分をイメージしてみましょう。
【通常の授業がある日】
6:40 起床
7:30 出発
8:30 学校に到着
9:00 授業(座学)
12:00 昼休み
13:00 授業(演習)
16:00 授業終了
17:00 帰宅
【実習がある日】
6:10 起床
7:00 出発
8:00 実習先に到着
8:30 午前の実習
12:30 昼休み
13:30 午後の実習
17:00 実習終了・振り返り
17:30 明日の準備
19:00 帰宅
実習がある日は、家を出る時間が普段より早くなったり、帰宅が遅くなったりするケースもあります。体調管理や生活リズムの変化には注意が必要です。
子育ては家族の協力・サポートが欠かせない
家事だけであれば、どうにかして学業と両立できるかもしれませんが、そこに子育てがプラスされると、すべてを一人で抱えるのは厳しいでしょう。
日中は学校に通う関係上、子供がまだ幼い場合は保育園や幼稚園に預けることになるため、子供の送り迎えをしなければなりません。さらに、食事の準備や掃除、洗濯などのことも考えると、体力的にも精神的にもかなり負担がかかります。そのような生活を最短でも3年は続けることになるので、体調を崩してしまう可能性も出てきます。
そのため、子育てとの両立を図る場合は、家族を含めた周囲の方々の協力・サポートが欠かせません。仕事などの関係で協力を得るのが難しいときは、家事代行や家政婦の利用なども検討したほうがよいでしょう。
また、看護師として働くことになってからも、仕事と子育ての両立が必要です。パートなど時間をうまく使えるような働き方をすれば、両立もできるかもしれません。
しかし、家族の協力・サポートが得られないようであれば、看護師になること自体を再度検討したり、看護助手を目指したりしたほうが良いケースもあります。
主婦が看護師を目指す場合、大学と専門学校はどちらがおすすめ?
看護師を目指すにあたって、学校選びはとても重要なポイントです。主婦から看護師を目指す場合には、看護師としての仕事内容に違いは出ないため、看護大学より看護専門学校に通うことをおすすめします。
大学は卒業するまで4年間通わなければならないため、3年制の専門学校に比べると就職が遅くなることは避けられません。1年早く看護師になれば、世帯収入が増える時期も早くなるため、家計の面から考えてもメリットは大きいでしょう。
また、大学と専門学校では学費にも大きな差があります。大学は数百万円ほどかかるケースもありますが、専門学校なら数十万円~100万円程度で通うことができるため、家計への影響も少なくて済むのです。
時間やお金以外の面でも、専門学校には以下のようなメリットがあります。
- 大学より実習が多いので、実践的なスキルを身に付けられる
- 社会人入試枠を設けている学校が多い
- 社会人経験のある生徒が多いので、受験仲間を作りやすい
- 学校数が多いので、選択肢も豊富(専門学校は大学の約6倍)
このようなメリットを踏まえると、大学よりも専門学校に通ったほうが得策といえるでしょう。
看護大学と看護専門学校の違いは以下の記事でも解説しているので、さらに詳しく知りたい方は参考にしてみてください。
看護師になるには大学と専門学校どっちに進学するべき?違いやメリットを解説!
まとめ
主婦から看護師になるには、学校に3年以上通ったうえで、国家試験に合格する必要があります。家事や子育てとの両立、学費の工面などについても考えなければならないため、ハードな生活を送ることになるでしょう。
しかし、世帯収入アップや仕事のやりがいなど、苦労に見合うだけのリターンがあることも事実です。本人の強い意志と家族の協力・サポートがあれば、資格取得は決して不可能ではないので、前向きに検討してみましょう。
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