介護士が働く施設では、利用者などへの配慮からネイルを制限されるのが一般的です。しかし、介護士のなかには、ネイルに興味がある人もいるのではないでしょうか。一部の施設では、ネイルをしていても働ける場合もあります。
本記事では、介護士のネイルが制限される理由や、介護士がネイルを楽しむためのコツをご紹介します。介護士へのパートや転職を検討する際の参考にしてください。
介護士のネイルが好ましくない3つの理由
介護士のなかには、「仕事中でもおしゃれをしたい」という人もいるのではないでしょうか。しかし、介護士にとって身だしなみは基本です。介護士のネイルを禁止している介護施設は少なくありません。仕事の特徴から、利用者を最優先することは仕方ないといえるでしょう。介護士の身だしなみでは、動きやすさだけでなく、安全や印象の良さが欠かせません。
ここでは、介護士のネイルが禁止されている理由を確認していきましょう。
介護に危険がともなう
高齢者は、加齢により体力や新陳代謝が低下しています。高齢者と接していて皮膚の薄さや弾力性の低さを体感した人もいるのではないでしょうか。肌が弱いと、ささいな刺激で傷がついてしまいます。一度傷がついてしまうとなかなか治りません。
また、高齢者の肌に傷がついてしまった場合、傷から病原菌に感染する可能性もあります。ネイルで爪が長くなっていると、それだけで利用者を傷つけてしまう危険性が高まるのです。介護士の仕事は、食事や排せつ、移動、整容・入浴のサポートと高齢者の生活に直接関わります。
ふとしたタイミングで利用者を傷つけるリスクは、最小限にすべきです。ネイルは、時間が経つとはがれることがあり、万が一ネイルの一部が利用者の口に入ってしまった場合は、誤飲事故につながる可能性もあります。
不衛生になる
ネイルで爪が長くなっていると、爪の裏側に汚れがたまりやすくなります。ジェルネイルをしている人の爪の裏側についた汚れの量は、「共用トイレのドアの取手と同程度」と言われています。爪を短く切りそろえるのは、食品や衛生に関わる分野では常識といえます。
介護の場面でも、万が一排せつケアや、入浴介助の際に爪に汚れが付いてしまったら、施設内に雑菌を拡散してしまう可能性があります。
信頼感が損なわれる
利用者にとって、施設とは単なる居場所ではなく生活の場です。利用者本人も利用者の家族も安心して暮らせるかどうかを重視しています。利用者や、職員同士に好感をもってもらい信頼関係を築くためにも、介護士は身だしなみへの配慮が重要です。
施設の中には、髪の毛を染めていたり、化粧をしたりしていることが気にされないケースもあります。しかし、ネイルは衛生面での不安を抱かせるおそれがあります。
「介護施設は衛生的にも安心できる場所である」という信頼感が、ネイルで損なわれてしまう可能性もあるのです。
介護士がネイルを楽しむ4つのコツ
介護士は、利用者をケアする仕事のため、自由にネイルを楽しむのは難しいでしょう。しかし、工夫をすればネイルが楽しめます。さまざまな選択肢を確認してみましょう。
ネイルOKな介護士の求人を探す
利用者の爪を彩る「福祉ネイル」という考え方も登場しており、パート・正社員を問わず以下のような施設の介護職でネイルOKの募集があります。
【ネイルOKの募集がある介護施設】
- 特別養護老人ホーム
- ケアハウス
- デイサービスセンタート
- グループホームなど
ジェルネイルでは、爪が固くなりますが、なかには爪の割れや欠けを予防する目的で、介護士のネイルを認めているケースもあります。もし、ネイルに対する考え方が今の職場と異なる場合には、一定の条件さえ満たせば問題ないと考える職場に転職を検討した方がいいかもしれません。
ただし、完全に自由にネイルが楽しめるわけではありません。色を透明やピンク、ベージュ系に限っていたり、大きいパーツは禁止されていたりするケースもあります。また、もしネイルをしていても、安全や衛生に対する配慮は必要です。爪裏の手洗いを欠かさずに、長さも伸びすぎないようにこまめに整える必要があります。
ネイルケアにこだわる
一度やってしまうと、すぐにオフするのが難しいジェルネイルではなく、爪磨きやハンドケアに凝ってみるのも一案です。ネイルケアは、健康で美しい手や爪を維持するのに役立ちます。ネイルケアの目的は、「不要な角質を取り除き爪の潤いを保つ」「正しく爪が伸びるように爪や爪の周囲をメンテナンスする」などです。
介護士は、手洗いが必要なシーンが多く手元が荒れがちなため、ネイルケアをしっかりと行うだけでも手元が美しく保て、気持ちも上がるでしょう。
休みの日だけネイルをする
どうしても好きなデザインのネイルで手元を彩りたい場合には、休日にマニキュアなどでネイルを楽しみましょう。ネイルシールやチップなど、セルフネイルのための素材はたくさんあります。速乾性のマニキュア(ネイルポリッシュ)やトップコートは時短になるのでおすすめです。ドライヤーやネイル用速乾剤・スプレーなどを使うのも一案です
また、マニキュアは古くなってくると乾きづらいので、新しいものを使うとスムーズに作業が進められます。
足の指にネイルをする
ネイル禁止の職場でも、裸足になる機会がなければ、足にジェルネイルができます。入浴介助で、自分が転倒しないように裸足になる場合もあるでしょう。しかし、白癬(はくせん)菌の感染予防のため、入浴介助用の長靴やサンダルを履く施設も多い傾向です。
足の爪は、手の爪に比べて伸びる速度が遅めで、何かに当たる頻度も少ないため、手よりも長い期間好みのデザインが楽しめます。
介護士でも手元を美しく!ネイルケアのコツ
ネイルができないからといって、爪や指先のケアができないわけではありません。介護士は、手洗いの頻度が高く、特に手のうるおいが奪われている状態です。
自分で爪のケアができると、ささくれや二枚爪の予防ができて手元を快適に保てます。ここでは、具体的なケア方法を簡単にご紹介します。
甘皮やささくれを取り除く
爪周辺の皮膚の水分や脂分が不足すると、ささくれができやすくなります。また、爪の根元にある甘皮は、爪に細菌が入らないよう保護する役割があるため、一部が飛び出ていても無理に引っ張るのはよくありません。
まず、甘皮をやわらかくしてから優しく切り取りましょう。甘皮は、お風呂のなかでふやかしたり、ガーゼなどでゆっくりマッサージしたりするとやわらかくなります。気になるささくれや甘皮は、引っ張るのではなくニッパーで切り取りましょう。
爪の形を整える
爪切りは、手軽に爪を短くできるものの、切る際の衝撃で爪が割れやすくなるデメリットがあります。もし、爪が割れやすく悩んでいる場合には、やすり(ファイル)で形を整えてみましょう。ネイルケア用のやすりには、さまざまな粗さのものがありますが、目が粗すぎると爪を傷めるため、180グリッド程度がおすすめです。
オイルで保湿
甘皮や爪の形などが整え終わったあとは、仕上げとして保湿を行ないましょう。ネイルケア用のネイルオイルは、特に爪への吸収性が高くしっかりと保湿できます。ハンドクリームは、手の指や手肌の保湿効果が中心のため、両方を上手に使い分けるのがポイントです。
介護士でも手元を美しく!ネイルケアのコツ
介護士は、利用者の方の身の回りのお世話をするため、手元を清潔に保つ必要があります。また、周囲との信頼関係も重要になるため、介護士がネイルをして良いかは賛否がわかれるのが現状です。しかし工夫次第で、ネイルも楽しめます。
また、身だしなみの一つとしてネイルOKの職場も増加傾向です。介護士として利用者に寄り添う気持ちを大切にしつつ、自分にあった楽しみ方を見つけてみてはいかがでしょうか。
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