看護師は経験年数に関わらず、職場環境の不満やスキルアップなど、さまざまな理由で転職することがあります。しかし経験が浅い看護師はアピールできる要素が少なく、志望動機の作成に不安を感じる人も多いのではないでしょうか。
志望動機はきちんとポイントを抑えているかどうかで、見る人の印象が変わります。この記事では、経験が浅い看護師の方向けに志望動機を書くときのポイントや例文についてまとめました。転職を考えている方はぜひ参考にしてください。
志望動機はなぜ必要?
履歴書を書くとき志望動機を書く欄がありますが、なぜ必要かを考えたことはありますか?
採用担当者側は、志望動機を下記のような視点で見ています。
- これまでどのような経験をしてきたのか
- 仕事で貢献できる人物か
- 看護観、人間性が職場に合っているか
- 長く勤めてくれそうか
- なぜうちの職場で働きたいのか
経験の浅い看護師は、経歴だけで評価してもらうのは難しいでしょう。多くの病院や施設は経験がある即戦力を求めているケースがほとんどです。ベテラン看護師のように即戦力にはなれないかもしれませんし、職場によっては一から教育が必要です。新卒入職後から短期間での転職だと、長く勤められるかという点について疑問視されることも考えられます。
そういった採用担当者の不安を払拭する材料となるのが、志望動機です。なぜ転職したいのか、志望する理由、今後どうなりたいのかなど、経歴だけでは伝わらない「働くことへの意欲」を伝える機会になります。
必ずしも志望動機だけで採用の可否が決まるとは限りません。しかし採用担当者にとって、長く勤めてもらえるか、採用して職場や患者さんのためになるかどうかを判断する材料になるため、しっかりとアピールすることが大切です。
経験が浅い看護師が志望動機を書くポイント
ここからは、経験の浅い看護師が志望動機を書く際に気を付けたいポイントを4つご紹介します。
下記のポイントを押さえながら、長く勤めて職場に貢献する意欲や看護師として自ら学び続ける意思があることをアピールしましょう。
退職する理由を明確に
経験が浅い看護師からの応募において、退職理由は採用担当者にとって気になるポイントです。なぜ前の職場を退職しようと思ったのか、理由によっては「うちに就職してもまたすぐに辞めてしまうのではないか」と不安要素になってしまうからです。
長く勤める意思を伝えられるよう、退職に至った理由は明確にしておきましょう。納得できる理由であれば、経験が浅くても問題にならない場合が多いです。
人間関係や残業の多さなどネガティブな理由で転職をする方もいるかと思います。しかし採用担当者にマイナスな印象を与えるため、可能な限りネガティブな理由をポジティブな理由に変換して伝えるようにしましょう。
病院・施設の魅力を伝える
なぜ志望先に応募しようと思ったのか、志望先でなければならない理由を伝えるのも大切です。
病院・施設のホームページやパンフレットには職場の理念や取り組み、教育体制などが書かれています。それらのどこに魅力に感じ、共感したのか、自身の目標や看護観も交えて志望動機を作ってみましょう。
これまでの経験をアピールする
前の職場でどのような経験をしたかのアピールも重要です。「経験が浅くて書くことがない」と思うかもしれませんが、短い期間でも懸命に学んだことや取り組んできたことがあるのではないでしょうか。
具体的には、働いた診療科、そこで学んだスキルや知識などを記載します。それらをどのように次の職場で活かしていくのか、採用担当者がイメージできるように伝えましょう。
目指したい看護師像を伝える
志望動機には、あなたがこれからどのような看護師になりたいのかについても記載しましょう。
経験の浅い方はこれまでの経歴でアピールできる要素が少ない分、今後職場の戦力になっていけるかが重要なポイントです。多くの経験を積んで成長し、職場に貢献していく意欲があることを伝えましょう。
志望動機の書き方や書く上での考え方については、以下の記事も参考にしてくださいね。
【看護師の転職に役立つ!】志望動機の書き方と例文集
【履歴書・面接】看護師の志望動機の例文を17個紹介!新卒・転職・未経験などケース別の解説あり
【転職理由別】経験が浅い看護師の志望動機例
ここからは、経験が浅い方向けの志望動機の例文を転職理由別にご紹介します。ご自身の状況に合わせて参考にしてみてくださいね。
スキルアップ・キャリアアップを目指したい
看護師として、スキルアップやキャリアアップを目指すという人は多いのではないでしょうか。どのようなスキルを得たいのか、どのような看護師を目指しているのかを具体的に示すようにしましょう。
総合病院から専門病院へ転職したい
看護師として総合的な力をつけたいと思い、現在の病院で2年間勤務しました。循環器病棟に配属となり、日々患者さんと向き合う中で、循環器の専門性をより高めたいと考えるようになりました。
貴院は循環器の専門病院として最先端の治療を行うだけでなく、リハビリや再発防止にも力を入れているところに魅力を感じ志望しました。患者さんの治療後の生活まで支えていけるよう、これまでの学びをさらに深め、職場に貢献していきたいと考えています。
急性期病棟から3次救急のある病院へ転職したい
現在、2次救急の指定を受けた病院の急性期病棟で働いています。毎日患者さんを受け入れる中で自身の力不足を感じ、さらなるスキルアップを目指したいという思いが強くなりました。
救急救命センターを備えた貴院では、地域における医療の砦として年間数百件におよぶ3次救急の患者さんの受け入れをしていると聞き、多くの経験ができると考え志望しました。また教育体制も充実しており、将来的には救急看護認定看護師の取得を目指したいです。
介護経験の豊富さをアピールして慢性期病院へ就職したい
以前は介護士として働いていましたが、医療行為を含めた幅広いサポートをしたいと感じ看護師免許を取得しました。看護師としての経験は浅いですが、介護現場で培ったコミュニケーション能力や介護の専門的知識には自信があります。
利用者と向き合ってきた経験を活かし、貴院に貢献できるよう精進してまいります。
未経験の領域・診療科で働きたい
同じ看護師の仕事であっても、領域・診療科が変わると、業務内容や必要なスキル・知識も変わることがあります。
経験が浅い看護師の場合、再び一から学び直しという形になるケースも。少ない経験の中でなぜ違う領域・診療科を選ぼうと考えたのかを、具体的に伝えるようにしましょう。
内科病棟から訪問看護へ転職したい
現在は内科病棟で勤務しており、退院していく患者さんを多くみてきました。そこで患者さんの生活を支える在宅医療の重要性を知り、将来的には訪問看護に携わり、普段の生活に近い場所で看護をしたいと強く思うようになりました。
貴院では患者さんの気持ちを大切にし、自分らしく暮らせるよう支援していると伺い、患者さんに寄り添った看護が提供できると考え志望しました。
これからは訪問看護・在宅医療に関する知識やスキルを身につけ、自身の強みであるコミュニケーション力も発揮しながら、貴院の力となれるよう努めます。
急性期病院から回復期病院へ転職したい
これまで急性期病院で働く中で、急性期の治療を終えて回復期リハビリテーション病院へ転院する患者さんを見送ってきました。急性期はやりがいはあるものの、一人ひとりと関わる時間が短く、長期にわたってサポートできないことにもどかしさを感じていました。
退院支援に力を入れている貴院であれば、患者さんの在宅復帰を目標とし、一人ひとりと向き合った看護ができると考え志望しました。
急性期での経験も活かしながら、患者さんが安心して退院できるよう支援するための力を身につけてまいりたいと思います。
総合病院からクリニックへ転職したい
これまで総合病院で勤務し、周手術期の患者さんの看護に携わってきました。仕事は充実していたものの、患者さん一人ひとりと向き合う時間を取ることが難しく、退院後の生活も考えた看護をしたいという思いが強くなりました。
貴院は地域のかかりつけクリニックとして、小さな子どもから高齢者まで幅広く診療していると聞き、患者さんの生活や思いを大切にした看護ができると考え志望しました。
総合病院で培ってきた知識やスキルを活かし、今後は地域に密着した医療を提供できるよう努めてまいります。
前職の不満で転職したい
人間関係や職場環境など、職場に不満があって転職を決意する方もいます。その場合、どうしても転職理由がネガティブになりがちです。できる限り前向きな印象になる言い回しをして、働き続ける意欲があるとしっかりと伝えるようにしましょう。
人間関係が原因で転職したい
これまで総合病院で勤務してきた中で、患者さんのニーズにあわせた医療・看護を提供するためには、職員同士の連携が重要だと強く感じていました。しかし以前の職場では、人手不足による業務過多から、職員間のコミュニケーションが十分ではありませんでした。
今回貴院を志望した理由は、チーム連携を大切にし、短時間勤務などの多様な勤務形態を支援するなど、職員同士が支え合う貴院の風土に魅力を感じたためです。
一緒に働く方とコミュニケーションを取りながら、患者さんにより良い看護を提供していきたいと思います。
残業の多さが原因で転職したい
現在の職場は急性期医療を支えるやりがいのある職場ではあるものの、毎日のように2〜3時間の残業が発生しており、体力的に限界を感じていました。業務においてさまざまな工夫を試みましたが改善されず、同僚や先輩方も同様の状況でした。患者さんと向き合う時間も取れず、やりたい看護が実践できないもどかしさもありました。
貴院では業務改善や人材確保の取り組みが積極的に進められていると聞きました。資格取得支援制度もあり、認定看護師資格の取得も目指せると考え志望しました。残業が少なくなる分の時間は自己研鑽にあて、さらなるスキルアップに努めたいと考えています。
ライフステージの変化に合わせた働き方をしたい
転居や結婚・出産など、ライフステージの変化が理由で転職する方は多いです。志望動機では、環境が変わっても働き続けたいという意欲を示すと良いでしょう。
家庭と両立しやすい職場へ転職したい
新卒から総合病院で勤務してきましたが、この度転居したことを機に、仕事と家庭を両立しやすい環境で働きたいと考えています。
貴院では託児所が併設されており、子育て中の方も多く活躍していると伺っています。自宅からも近く、長く働けると考え志望しました。
前職では内科病棟で慢性期疾患の看護に携わっていましたので、貴院でも経験を活かして貢献したいと考えております。
地元へ戻って地域医療を担う病院へ転職したい
卒業後は都市部の総合病院で勤務してきましたが、家庭の事情で帰郷することとなりました。貴院は地域医療の中核を担っており、私自身も含め地域住民が信頼している病院で、地域を支えたいと考え志望しました。
地域の方から信頼される看護師を目指して、これまでの総合病院での経験を活かしながら、さらなるスキルアップができるよう努めてまいります。
まとめ
この記事では経験の浅い看護師の方向けに、志望動機を作成するときのポイントや例文を紹介してきました。
採用担当者にとって、短期間で転職する方はすぐに辞めてしまうのではないかという不安があります。不安を払拭するためには転職理由を明確にし、なぜ志望先で働きたいのかを分かりやすく伝えることが大切です。
たとえ看護師としての経験が浅くても、ポイントを押さえれば熱意や意欲は十分に伝わります。志望動機を作成する前に、これまでの経験、これからの目標を整理してみましょう。
バイトルPROでは経験が浅くても転職できる豊富な求人を紹介していますので、転職先選びの参考にしてくださいね。
ライター 小松亜矢子
地域看護に関心のあるライター。看護師の資格を持ち、地域でコミュニティナースとして活動中
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