看護師さんの転職したい理由はさまざまです。
しかし、面接で転職理由を聞かれると、「本当のことを伝えてもいいのかな...?」「面接で好印象に思われたいけどなんて答えればいいの...?」などと悩む看護師さんは多いのではないでしょうか。
転職理由をうまく答えるためには、採用担当者が応募者の何を見ようとしているかをきちんと想定し、回答を準備しておく必要があります。
そこでこの記事では、面接で使える、看護師さんのための転職理由の答え方を例文付きで解説します。
【例文あり】面接における転職理由の伝え方
看護師さんに多い転職理由は以下のような例が挙げられます。
【看護師さんに多い転職理由】
- スキルアップ
- 結婚・育児・介護などのライフスタイルの変化
- 体調不良
- 人間関係
- 前職での給与や残業時間などの待遇の不満
- 配属先が希望する仕事や診療科ではなかった
上に紹介した以外でも転職理由は人それぞれあるかと思います。
どの転職理由も共通して、悩みや不満、環境の変化から転職を考えていることが分かります。しかし、自分の転職理由をストレートに面接で伝えてもいいのか悩む看護師さんは多いのではないでしょか。
ここからは転職理由別に、看護師さんが転職理由を聞かれたときの面接での答え方を詳しく紹介していきます。
スキルアップ・キャリアアップしたい場合の転職理由
<例文>
新卒から5年間、脳神経外科で経験を積んでまいりました。脳神経外科の患者様と向き合う中で、高度なスキルを身に着けました。
そして今後も、経験を活かして重症患者様の看護を行いたいと思いました。貴院では、最新の医療技術を導入しており、より幅広い分野の経験と看護スキルを上げることができると考え、志望いたしました。
スキルアップ・キャリアアップが理由で転職をする人は多く、採用担当者に伝えやすい内容です。
その反面、多くの人がスキルアップを理由に転職をするため、ただ漠然とスキルアップがしたいと伝えても、明確な考えやイメージをもっていないのではないかと思われてしまいます。
自分が将来どんな看護師になりたいかについて考え、なぜ応募した転職先を志望するのかを自分の看護観と合わせて伝えるようにしましょう。
ライフステージの変化や体調不良の場合の転職理由
ライフステージに関連する退職理由として、結婚や育児、介護といったさまざまな理由が挙げられます。また、看護師の仕事は激務であるため体調を崩しやすく、それをきっかけに退職するケースも多いです。
ここからは、ライフステージの変化や体調不良の場合の転職理由について紹介します。
ライフステージの変化(結婚、育児、介護等)
<例文>
前職では、急性期病棟で5年間勤務したのち、結婚と出産を機に退職いたしました。その後3年間ほど育児に専念しておりましたが、子育ても落ち着いてきたので、再度医療に関わりたいと思い、応募をする運びとなりました。
最先端の知識と技術を習得しながら、患者様が在宅復帰するまでの支援を行う独自の体制に共感し、自身の経験を活かせると思いました。また、子育てとの両立を図りながら働いている看護師さんが多いことに魅力を感じ、貴院を志望いたしました。
子どもを預かってくれる保育園も既に決まっており、急な体調不良などの際の協力体制もあります。
貴院にいち早く貢献ができるよう、業務に取り組みたいと考えております。
ライフステージの変化による転職理由の場合、採用担当者は急な欠勤が頻発しないか、ある程度対処できる体制が整っているかを注目してみています。
育児や介護などでは、何かあったとき(子育ての場合、急な発熱等)に家族の協力体制があることをしっかり伝えましょう。子育て、介護などを両立しながらも働きたいという熱意を伝えるとより好印象です。
体調不良
体調不良が転職理由だったとしても、面接の場で体調不良が転職理由と伝えるのは避けた方がいいかもしれません。看護師さんは、立ち仕事がメインとなり、体力を求められるケースが多いからです。
体調不良を転職理由に挙げる場合は、体力的に楽な職場を求めて転職するという点だけでなく、なぜ志望先で働きたいのか、自分がどんなふうに志望先の役に立てるのかをしっかり伝えるのが大切です。
現職の労働環境がハードワークだったり、深夜勤から体調不良を引き起こしたりするなど、体調を理由に転職する方は少なくありません。体調不良による転職の場合は、働きやすさを重視して、回復期病棟や療養病棟のある病院へ転職を検討する看護師さんも多いようです。
夜勤のないクリニックや、療養者のいない介護施設なども転職先の候補に挙がりますが、こうした施設では看護師の人数が少ないことは考慮すべきでしょう。通院や体調不良による急な欠勤の際に、少人数でまわしている職場だと休みが取りにくいケースが考えられます。回復期、療養病棟は看護師の人数が多めで、急患の患者さんが少なく、比較的ゆったりと働ける環境です。
あえて体調不良を転職理由に挙げなくても、内定時や入職手続きの際などに、健康面の不安を伝えれば働き方の調整が図れます。
体調に不安を抱えながらも、看護師として働き続けたいと思うのはなぜなのか、その理由をしっかりと見つめなおすと、ご自身も採用担当者も納得する転職理由が見つかるのではないでしょうか。
前職での不満(条件面)がある場合の転職理由
仕事をしていると、人間関係でのトラブルや上司への不満、給料などの待遇面への不満などが出てくるタイミングもあるでしょう。
ここでは、前職での不満(条件面)がある場合の転職理由について紹介します。
人間関係
<例文>
前職ではプライマリーナーシングの看護配置であり、1人の患者様を1人で担当をし、入院から退院まで支援をしていました。日々、責任感をもって患者様に合った質の高い看護を提供できるよう精進して参りました。
しかし、前職ではチームで協力して成果をあげる風土がありませんでした。そこで、チームナーシングでチームで看護を提供する看護方式での経験を積んでみたいと思いました。
貴院ではチームナーシングの形で看護を行っており、協調性のある人材を求めていると募集要項で拝見しています。自分の強みである責任感と協調性をより発揮し、貴院に貢献できると考え転職を決意しました。
上司と合わなかった、いじめがあった、職場の雰囲気が悪かったなど、「人間関係」が原因で転職を考える人は少なくありません。
しかし、ありのままの理由を伝えてしまうと「コミュニケーション能力が低い」「愚痴のように聞こえる」「本人にも非があったのでは?」と採用担当者の誤解を招く可能性もあるかもしれません。ネガティブな転職理由は「仕事の幅を広げたい」「新しい環境に身を置き、自分の能力を発揮したい」などのポジティブな転職理由に言い換えられます。
待遇の不満(勤務時間や給与)
<例文>
今の職場では入職当初から、2交代であるものの勤務時間が朝8時から夜19時までの勤務が常態化しており、申し送りなどもあるため前後3時間程残業があるのが当たり前の状況でした。
急患の患者様が多いため、仕方がないとはいえ、チーム内で体調不良をおこしてしまう同僚が続発する環境でした。
在籍中はリーダーを務めていたため、申し送りの伝え方の提案をしたり、看護師職員の増員の要望を出したりしましたが、変化を好まない病院の風土もあり、受け入れられませんでした。
そこで、あらためて自分の看護や働き方を見つめ直したのですが、以前から関心のあった緩和ケアに携わりたいという思いが強くなりました。貴院のホームページで○○○とあるのを拝見し、前職からも多くを学ばせていただいたのですが、これまでとは違う看護観の下でも経験を積みたいと考え志望致しました。
忙しさや待遇の不満を転職理由として伝えるのは、あまりよい印象にはなりません。別の転職理由に言い換えるのが無難です。待遇に不満を感じていた事実を伝えるなら、採用担当者に「看護師本人のわがままであり、不満が転職する理由になっているのでは?」と思われないように伝えるのが第一です。
例えば過度な残業が転職の大きな理由だとしたら、当時の勤務状況を具体的に説明しましょう。詳細な勤務時間や、月の残業時間などです。
※看護師の約65%が月に20時間以内の残業をしています
単に長い労働時間となっている問題を挙げても、個人の能力不足によるものだと捉えられる可能性もあります。周りの同僚がどのような状況であったかを説明し、長い労働時間が個人の能力不足によるものではないと客観的に示しましょう。
また、状況を改善しようと何か取り組んだ事例があれば、それを合わせて伝えると、努力したことも採用担当者に伝わり、悪印象を防げます。
参考:日本医療労働組合連合会「2017年看護職員の労働実態調査」
不本意な配属
<例文>
5年間循環器外科で勤務をしておりました。新卒時に希望した職種ではなかったものの、置かれた現場で経験を積み、学びを深めてきました。前職では、疾患に向き合いながらも、日を追って回復していく患者様の姿に看護師としてやりがいを感じていました。
しかし、今後の自分のキャリアアップを考えた際、新卒時から希望していた整形外科で働きたいという想いが強くなりました。学生時代からスポーツに取り組んでいたこともあり、以前からスポーツ整形外科に興味を持っておりました。そこで、専門的な知識を深め、スポーツ整形に特化して支援をしたいと思いました。
貴院では、スポーツ整形でも定評があり、整形手術件数が県内でもトップクラスの実績があることに魅力を感じ志望いたしました。これまでの経験も活かしながら患者様が在宅復帰ができるよう邁進したいと考えております。
不本意な配属だったとしても、置かれた環境で柔軟に対応して勤務できるのかという点を採用担当者は注目しています。配属が不満という理由で短期間で離職し、経験を長く積んでいない場合は、配属の不満だけを転職理由として伝えるのは避けましょう。
転職先でも、希望していたのとは違う部署に配属されてしまうケースは稀にあります。希望ではない部署へ配属になっても、置かれた環境で活躍できる人材であれば、採用される可能性が高くなります。
融通がきくこと、置かれた環境でも頑張れることはできるだけアピールしておきましょう。
採用担当者が見ている転職理由のポイント
続いて、採用担当者が転職理由を聞く際に注目しているポイントを紹介します。
採用担当者の見ている点を理解した上で、転職理由を考えてみましょう。採用担当者の視点を意識するだけでも、採用される確率は上がります。
採用担当者が転職理由を聞くときに見ている点は以下の2つです。
- 仕事に対する姿勢
- 就業先で活躍、貢献をしてくれそうか
仕事に対する姿勢
まず、採用担当者が転職理由を質問する意図として、入職後にすぐに辞めてしまわないかという点や、意欲をもって働き続けてくれるのかという点を見ています。
長く働く意思がある姿勢を伝えられる機会は少ないため、必ず転職理由や志望理由の最後に、一文を添えて伝えるようにしましょう。
就業先で活躍、貢献をしてくれそうか
次に自社でこの人はどのような活躍をしてくれるかという点を、職歴と合わせて転職理由で注目してみています。
自分が実際に入職した後に働くイメージをして、これまでの経験で活かせそうな部分があれば、経験と合わせて具体的にどう貢献ができるかを具体的に述べましょう。
①これまでの経験→②志望先の特徴→③なぜ志望したかの順に考えると伝わりやすいです。
【伝える順番の例】
- これまで●●病院の●●病棟でスキルを身に着けてきました。
- 貴院では、●●の特徴で魅力を感じ、自身の経験を活かせられると感じました。
- そして新たに志望先で●●のスキルを身に着け、より看護師としてのキャリアアップをしながら活躍していきたいと思い志望いたしました。
志望した理由だけではなく、今後の自分のキャリアを考え、どんなことをしていきたいかなど看護観を含めて話せると、人柄も伝わるので好印象です。
【パターン別】転職理由Q&A
転職活動を行う上で、疑問や悩みや不安などは尽きないのではないでしょうか。ここからは、看護師さんに多い転職理由における疑問や悩みなどをQ&A方式で紹介します。
転職理由と退職理由の違いってなに?
転職理由と退職理由では似ていますが、それぞれ意味が異なります。
転職理由 | 退職理由 |
---|---|
転職しようと思った理由 ※前職を辞めた理由だけではなく今後の展望もセットで伝える |
前職を辞めた理由 |
退職理由は、前職を辞めた理由です。一方、転職理由は転職しようと思った理由を指します。転職理由では今後のキャリアプランやどのような業務に携わっていきたいのか、などの意向を退職理由とともに伝えます。
そのため、転職理由を聞かれた際には、前職を辞めた理由だけではなく、今後どのように働きたいか、展望も合わせて伝えるようにしましょう。
採用担当者に好印象を持ってもらいやすくなるだけでなく、志望動機にも説得力が生まれます。
早期退職した場合、正直に話すべき?
3か月以内で退職したなど、早期退職をした場合、職歴を書きたくない、ばれたくないという人がいますが、履歴書や職務経歴書には在籍期間や雇用形態に関わらず全て記載するようにしましょう。なぜなら、社会保険の加入状況などからばれてしまう可能性が高いからです。
面接の場では、質問されたら正直に伝えしましょう。なぜ早期退職に至ってしまったのか理由をあらかじめ考えておき、対策をしておくことが大切です。
転職理由のあとに早く働きたいと伝えてもいいのか
転職理由を聞かれた後に、「いつ頃から働けますか?」といった質問をされることが多いですが、現在離職中で働ける状況であれば早く働きたいと伝えても問題ありません。
4月入職募集など、募集をする段階から明確な募集時期が記載されているのであれば「募集時期通りに働ける」と伝えましょう。
在職中の場合も同様に「どれくらいで辞めていつ頃から働けますか?」と聞かれるので、あらかじめ退職や入職の目安を考えておくといいでしょう。
志望先の情報収集はしておくべき?何を見ればいいの?
志望先の情報収集をしておけば、志望動機を伝える際に説得力が増します。必ず事前に志望先の情報を把握しておきましょう。
志望先が強みとして行っている取り組みや志望先だけの特徴、理念・概念を特に注目してみておきましょう。実際に配属される看護部の紹介、看護部長の挨拶の箇所では、志望先の目指す看護観や理念・概念が書かれているケースが多いです。
また、病院や施設の公式サイトには志望先独自の強みや特徴が書かれています。以下の箇所に掲載されているケースが多いので、探してみましょう。
- 理念・概念
例)看護部あいさつより...『地域に根付いた急性期病院であり、地域がん拠点病院として高度急性期医療を担いながら患者様と寄り添った看護を提供することを目指しています。』 - 志望先の強み
例)当院・当施設について...『最新手術システム搭載~最新の装備で安全な施術を行います。~』
福利厚生...認定看護師資格支援制度<支援内容等>
まとめ
ここまで面接で転職理由を聞かれたときの答え方について、例文とともに解説してきました。看護観や志望理由も合わせて伝えるところが退職理由とは違う点です。
採用担当者に向けて、納得感のある転職理由を伝えるには「仕事に対する姿勢を示す」「就業先でどのような活躍、貢献ができるか」の2つを考慮して伝えるようにしましょう。
また、転職理由を伝えることがゴールではなく、自分自身が納得する職場に出会い、勤務できるのがゴールです。目先の面接だけではなく、自分自身が納得できる職場を選びましょう。
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