他の職業と比較して月給が高いと思われることが多い看護師。しかし本当にそうなのか、実際はどのくらいの月給がもらえるのかなど気になる方も多いのではないでしょうか。看護師として働いている方も、ご自身の月給は多い方なのか、気になるかもしれませんね。
月給の水準は、就職・転職する上で重要なポイントの一つです。この記事では看護師の平均月給や初任給、職場ごとの違いなどについて解説します。月給を上げる方法についても紹介していますので、参考にしてくださいね。
看護師の月給・手取りはどのくらい?
看護師がもらえる月給について、厚生労働省などが行っている調査をもとに実際の額を確認していきましょう。
看護師の平均的な月給額
厚生労働省が行った「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均的な月給は約33.8万円(平均年齢41.2歳、勤続年数8.9年)です。
この金額は基本給のほか、通勤手当や残業手当といった各種手当も含まれた額になります。さらに、所得税や社会保険料などが控除される前のいわゆる「額面」と呼ばれる金額なので、手取り額とは異なります。
手取り額の目安は一般的に80%前後といわれているため、上記の金額から計算すると平均的な手取り額は約27万円となります。
年収やボーナスなど看護師の収入に関して詳しく知りたい方は、下記の記事も合わせてご覧ください。
看護師の年収は高い?平均年収と月給・ボーナス・手当の内訳を解説!
看護師はボーナス(賞与)を手取りでいくらもらえる?都道府県や年齢ごとに紹介!
参考:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」
年齢別・男女別の平均月給
次に、年齢別で月給にどのくらい差があるのかをみていきましょう。厚生労働省が行った「令和2年賃金構造基本統計調査」では、以下のような結果が出ています。
年齢(勤続年数) | 平均月給 |
---|---|
20〜24歳(1.6年) | 28.4万円 |
25〜29歳(3.7年) | 31.3万円 |
30〜34歳(5.9年) | 32.4万円 |
35〜39歳(7.8年) | 33.2万円 |
40〜44歳(9.3年) | 34.2万円 |
45〜49歳(11.5年) | 36.0万円 |
50〜54歳(13.2年) | 37.3万円 |
55〜59歳(15.5年) | 38.0万円 |
60〜64歳(15.8年) | 33.6万円 |
65〜69歳(14.6年) | 30.5万円 |
70歳〜(15.1年) | 31.2万円 |
参考:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」
上記を見ると、一般的に定年を迎える60歳になるまでは、年齢が上がるごとに平均月給も上がっていくことが分かります。最も月給が高い55〜59歳では平均勤続年数も長いため、年齢だけではなく勤続年数も関係していると考えられるでしょう。
次に男女別に平均月給を見ると、次のようになります。
- 男性...約34.9万円(平均年齢38.8歳、勤続年数8.8年)
- 女性...約33.7万円(平均年齢41.5歳、勤続年数8.9年)
平均年齢や勤続年数、調査対象となった人数なども異なるため一概に比較はできませんが、数字上で見ると男性の平均月給の方がやや高いことが分かります。
看護師の初任給
次に、初任給を見てみましょう。公益社団法人日本看護協会が行った「2020年 病院看護実態調査」によると、2020年度に採用された新卒看護師の平均初任給は以下の通りでした。
- 3年課程卒業:26万2,277円(基本給20万2,289円)
- 大学卒業:27万292円(基本給20万8,918円)
参考:公益社団法人日本看護協会「2020年 病院看護実態調査」
わずかではありますが、大学を卒業した方が初任給は高くなる傾向にあるようです。
看護師の月給は職場によって異なる
看護師全体での平均月給は上記でご紹介した通りですが、実際の月給は働く職場によって異なります。
「2020年 病院看護実態調査」で公表されているデータから、設置主体別と病床規模別の平均月給を見てみましょう。
いずれも、31〜32歳で勤続10年、非管理職の看護師の平均月給としてまとめられたものです。通勤手当や夜勤手当などの諸手当を含んだ金額(時間外勤務の手当は除く)で、夜勤は三交代制で8回(二交代制で4回)を想定して計算されています。
設置主体別の平均月給は以下のとおりです。
設置主体 | 平均月給(基本給) |
---|---|
全体 | 31万8,916円(24万4,587円) |
国立 | 33万4,332円(26万631円) |
公立 | 33万5,471円(26万4,529円) |
日本赤十字社 | 35万1,065円(27万7,952円) |
済生会 | 32万6,868円(25万8,194円) |
厚生連 | 32万2,943円(26万1,003円) |
その他公的医療機関 | 31万5,895円(25万5,777円) |
社会保険関係団体 | 34万2,376円(27万2,483円) |
公益法人 | 32万1,422円(24万5,190円) |
私立学校法人 | 36万1,386円(27万3,893円) |
医療法人 | 30万7,943円(23万2,938円) |
社会福祉法人 | 32万6,544円(24万5,885円) |
医療生協 | 32万2,506円(24万6,448円) |
会社 | 34万5,654円(27万814円) |
その他の法人 | 31万3,834円(23万9,843円) |
個人 | 32万7,511円(23万5,081円) |
参考:公益社団法人日本看護協会「2020年 病院看護実態調査」
また、病床規模別の平均月給は以下の通りです。
病床規模 | 平均月給(基本給) |
---|---|
全体 | 31万8,916円(24万4,587円) |
99床以下 | 30万8,659円(23万5,050円) |
100〜199床 | 31万3,752円(23万9,864円) |
200〜299床 | 31万7,818円(24万4,329円) |
300〜399床 | 32万9,135円(25万6,106円) |
400〜499床 | 33万5,650円(25万8,877円) |
500床以上 | 34万6,300円(26万6,864円) |
参考:公益社団法人日本看護協会「2020年 病院看護実態調査」
これらを見ると、国立病院や公立病院をはじめとした公的医療機関は全体平均よりやや高めの月給であること、病床規模が大きくなるほど月給も高くなることが分かります。
看護師の手取り月給を増やす方法
看護師の手取り月給を増やすためには、いくつか方法があります。ここでは5つの方法をご紹介しましょう。
夜勤回数を増やす
看護師の月給額を左右する要因の一つは、夜勤手当があるかどうかです。夜勤をしているかどうか、夜勤をしているならば何回シフトに入っているかによって差が出ます。
夜勤手当の平均額は三交代制の準夜勤で4,154円、深夜勤で5,122円、二交代制では11,286円です。月8回(二交代制では月4回)入ったと仮定すると、4万円前後の手当が支給されることになります。
夜勤が少ない、あるいは全くしていない場合は、夜勤を増やしてもらえるよう交渉することで月給アップにつながるでしょう。
参考:公益社団法人日本看護協会「2020年 病院看護実態調査」
資格を取得して手当をもらう
職場に資格手当がある場合は、認定看護師や専門看護師などの資格を取得することで月給アップを狙える可能性があります。
一部の医療機関では、これらの資格取得者に対して手当を設けており、高い場合では1万円前後の手当が支給されています。また、手当以外にも、資格取得による昇格・昇給などの待遇を用意している医療機関もあります。
ただし、手当の支給や昇格・昇給がある医療機関は多くありません。資格取得を月給アップにつなげたいのであれば、まずは働いている職場の制度を確認した方が良いでしょう。
参考:公益社団法人日本看護協会「看護職の賃金の実態」
長く勤めて管理職を目指す
看護師の月給は、勤続年数が増えるほど上がる傾向にあります。一つの職場で長く勤めていれば、月給も徐々に上がっていくと考えられるでしょう。
管理職になれば、さらなる月給アップが期待できます。主任、看護師長と役職が上がっていくごとに月給も上がっていき、職務手当もつくため、給与アップを目指す方法の一つとして検討しても良いかもしれません。
ただし短期間で月給アップを目指す方法としてはあまりお勧めできません。
昇進の条件でもっとも多く挙げられているのが、「能力評価」です。次いで「上司の推薦」「ポストの空き」となっており、本人の努力だけでは難しい面があるので、長期間をかけて評価を上げていく努力が必要でしょう。
参考:公益社団法人日本看護協会「看護職の賃金の実態」
転職する
現在の職場で月給アップが難しい場合は、より良い条件の職場に転職することを検討するのもよいでしょう。上記でご紹介したように、職場の設置主体はどこか、病床規模はどのくらいかなどによって月給は変わってきます。
中途採用者の経験年数やスキルを、入職時に何らかの形で評価している医療機関は多いです。診療科が同じなど、前の職場での経験が活かせるところであれば、より評価されやすいかもしれません。
転職するならどのような職場が良いのか、条件はどうなっているのかなど、まずは調べてみても良いでしょう。
副業をする
副業禁止の職場でなければ、終業後や休日などに副業をするという方法もあります。一つの職場からもらう月給を上げられるわけではありませんが、トータルで見れば収入を上げることにつながります。
医療機関や介護事業所などでは、パートやアルバイトなどの非常勤職員を募集していることがあります。週1回のみの勤務や夜勤専従など、副業として働きやすい条件で募集されていることも少なくありません。
イベントの救護室で働く「イベントナース」やツアーに同行する「ツアーナース」のような単発の仕事もあります。中には看護師の経験を活かして、Webや雑誌などで記事を書くライターの仕事をしている方もいます。
本業のスケジュールなどに合わせて、働きやすい副業を探してみてくださいね。
看護師の副業について詳しく知りたい方は、下記の記事も合わせてご覧ください。
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看護師の仕事は、夜勤手当などの手当が増えれば月給アップにつながります。病床規模が多い医療機関などは月給が高くなる傾向にありますが、その分仕事がハードになることも考えられるでしょう。
一般的には勤続年数が増えれば月給も上がっていきますが、満足できる内容でないなら、転職という選択肢も視野に入れると良いでしょう。
バイトルPROは、希望の月給で仕事探しをすることができます。月給アップを望んでいるのであれば、まずは希望する条件に合う求人を探してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
ライター 小松亜矢子
地域看護に関心のあるライター。看護師の資格を持ち、地域でコミュニティナースとして活動中。
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