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介護士の平均年収はどれくらい?雇用形態や年齢別に解説!

  • お金・法律・制度

目次


介護業界では、人材不足や待遇改善を図るため、給与アップの動きが続いています。しかし、他業界に比べて介護士は収入が低いといわれているのも事実です。介護士は、どのくらいの収入があるのでしょうか。本記事では、介護士の平均年収を見ていきましょう。正社員とパートや派遣社員との差、地域や年齢、男女による違いにも注目してご紹介します。

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雇用形態別の介護士の平均年収


雇用形態別の介護士の平均年収の写真

勤務先の企業や団体と従業員が、どのような雇用契約を結んでいるのかによって、雇用形態は異なります。介護士の雇用形態は、主に次の3タイプです。

正社員(正職員) 雇用の期間の定めがなくフルタイムで常勤する介護士
パート・アルバイト 1週間の所定労働時間が、正社員に比べて短い従業員。短時間労働者と呼ばれることもあり、週20~30時間程度働いている介護士
派遣社員 人材派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の職場で勤務する介護士

介護士の平均年収は、雇用形態で差があります。雇用形態別の介護士の平均年収を厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」を参考に見ていきましょう。


正社員の平均年収

2020年2月の月給・常勤の介護士全体の平均給与額は、32万5,550円、勤続10年以上の介護福祉士では36万6,900円でした。前年度の2019年2月は、介護士が30万7,430円で1万8,120円増、勤続年数10年以上の介護福祉士は34万6,160円で2万740円増となっています。

ちなみに、この平均給与額の介護士とは、特定処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅱ)を取得した施設・事業所の介護職員で、勤続年数10年以上の介護福祉士とは特定処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅱ)を取得した 施設・事業所に勤務するケースです。

なお、介護職員処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)を取得(届出)している事業所のうち、介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅱ)を取得(届出)していない事業所に勤務する月給・常勤の介護士の平均給与額は、28万7,880円でした。

特定処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅱ)を取得した施設・事業所の介護士より、3万7,670円低いのが特徴です。これらを踏まえると、正社員で働く介護士の平均年収は、400万円前後といえるでしょう。

介護職員等特定処遇改善加算については以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひあわせて参考にしてください。
介護職は給与が増え続けている!介護職員処遇改善加算を解説


アルバイト、パート、派遣社員の平均年収

時給・非常勤で働く介護士の平均給与額は、2020年2月で11万2,500円でした。介護職員処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を取得(届出)している介護施設に勤務する介護士のデータです。前年同月の2019年2月の平均給与額は、10万6,750円となり、1年間で5,750円増となっています。

これらを踏まえて、アルバイトやパート、派遣社員などの時給で働く介護士の平均年収を換算すると、130万円前後と推測できるでしょう。

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その他の条件別の平均年収


その他の条件別の平均年収の写真

雇用形態のほかにも、介護施設のある地域の賃金事情をはじめ、勤務する介護士の年齢や性別などで平均年収は異なります。


地域別の介護士の平均年収

介護士の平均年収は、勤務する介護施設のある地域で大きく差があります。一般的に、地方よりも都会のほうが平均年収は高い傾向です。東京や神奈川、埼玉などの首都圏や、大阪、京都、兵庫などの近畿圏は、平均年収が高い半面、東北や九州は低めの傾向が見られます。

厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、2020年における東京都の介護職員(医療・福祉施設等)の平均年収は、以下のとおりです。

・(きまって支給する現金給与額28万900円×12ヵ月)+年間賞与その他特別給与額51万1,400円=約388万2,200円

一方で、地方例として青森県の介護職員(医療・福祉施設等)の平均年収を計算すると、以下のようになります。

・(きまって支給する現金給与額20万7,600円×12ヵ月)+年間賞与その他特別給与額36万2,800円=285万4,000円

東京都と青森県の介護職員(医療・福祉施設等)における給与の差は、約102万8,200円の差です。このように、同じ介護士でも、勤務先の介護事業所の所在地で平均年収に100万円以上の差がついてしまう場合もあります。

給与や待遇で悩んでいる介護士で、地方から都会に出て給与アップを目指す人も少なくありません。


年齢別の介護士の平均年収

年齢の違いでも、介護士の平均年収は異なります。厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、年齢別の平均給与額は次のような表になりました。

年齢 男性 女性 男女差
29歳以下 29万5,580円 28万7,430円 8,150円
30〜39歳 34万2,110円 30万4,650円 3万7,460円
40〜49歳 35万7,260円 31万5,000円 4万2,260円
50〜59歳 33万3,160円 31万3,530円 1万9,630円
60歳以上 28万9,800円 28万6,080円 3,720円

20〜40代の間は、男女ともに年齢とともに平均給与額がスライドして上がっていきます。しかし、50代に入ると下がっていくのが特徴です。上の表に基づき、月収にあたる平均給与額に12ヵ月分を乗じて年齢別の年収を計算してみましょう。

年齢 男性 女性 男女差
29歳以下 約354万6,960円 約344万9,160円 約9万7,800円
30〜39歳 約410万5,320円 約365万5,800円 約44万9,520円
40〜49歳 約428万7,120円 約378万円 約50万7,120円
50〜59歳 約399万7,920円 約376万2,360円 約23万5,560円
60歳以上 約347万7,600円 約343万2,960円 約4万4,640円

年齢別の年収のトップは、40〜49歳の男性で約429万円でした。


男女別の介護士の平均年収

男性と女性では、介護士の平均年収に差が見られます。先ほどの表から分かるように、20代は男女で約10万円、30代では約45万円、40代では約51万円、50代に入ると少し差が縮まって約23万円です。60歳以上は、男女別の年収の差は約4万円と、あまり差がなくなります。

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岸田総理は介護士の給与引き上げを名言

介護業界では、慢性的な人材不足に対応するため、厚生労働省や業界全体で介護士の待遇改善を続けてきました。介護職員の年収アップを目的として、2019年10月に新設された介護報酬の特定処遇改善加算の導入もその一つです。

介護職員特定処遇改善加算とは、介護士のなかでも経験や技能を持つ介護士を対象に待遇改善を図る処遇改善策の一つです。今後もニーズが高まる介護人材の確保が目的で、そのポイントは以下の2つです。

①勤続年数10年以上の介護福祉士に月額平均8万円相当の収入アップを行なうこと
②リーダークラスの介護士は全産業の平均年収である年収440万円まで引きあげを目指すこと

経験やスキルの高い介護士は一般の介護士の収入より2倍以上とすることで、介護士の待遇改善に大きな効果が期待されています。介護職員特定処遇改善加算が導入されるなか、2021年12月6日、岸田首相は臨時国会の所信表明演説で、介護職員の給与を年11万円アップすると明言しました。

「新しい資本主義」を掲げる岸田内閣で、介護職員の賃上げが約束されたことは、介護業界にとって明るい話題です。具体的には、介護の現場で活躍する介護士の給与を2022年2月から月額3%(9,000円)、年間11万円程度の引きあげるというもの。

国は、補助金と介護報酬の新加算を通して介護士の賃上げを目指しています。ただし、今回の施策のうち、介護職員処遇改善支援補助金は2022年2〜9月までの一時的なものです。一方、新加算は2022年10月から半永久的に導入されることが分かっています。

どちらの取得も、既存の処遇改善加算の(I)~(III)のいずれかを取得していることが条件です。また、補助金は、実際に賃上げを行なっていることが条件であったり、新加算は賃上げの計画書を作成して提出する必要があったりするなど、介護サービス事業者の負担もあります。

また、対象外の介護サービスもあるので、すべての介護士に恩恵があるわけではありません。団塊の世代が後期高齢者の75歳を迎える2025年問題まで待ったなしの状態が続く介護業界。今回の岸田首相の介護士に対する待遇改善の方針で、人材確保がしやすい環境づくりが進むと期待されています。

岸田首相の掲げる看護師・介護士・保育士の賃金アップについては、以下の記事も参考にしてください。
岸田総理「看護師・介護士・保育士の賃金アップ、2022年2月実施へ」具体的な引上げ金額や方針について|業界ニュース

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まとめ

介護士の平均年収は全産業と比べて低い水準が続いてきました。しかし、雇用形態をはじめ地域別や年齢別、男女別などの視点で平均年収を見ると、同じ介護士の職業でも収入にかなりの差があるのが分かります。

今後の介護人材の継続的な確保のため、国も新たな補助金や新加算で介護士の年収アップを図る動きが進められています。介護士の平均年収は、今後も少しずつ改善が期待できるでしょう。


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