介護施設で、日常的に行われているレクリエーション。レクリエーションは「楽しむ」だけでなく、身体機能や認知機能などの維持や精神的支援の機能も果たしています。高齢者介護需要の高まりとともに、機能維持が期待できる点から、医療や介護の場面で注目されるようになりました。
一般的に「介護」というと、「生活の補助」というイメージがあるかもしれませんが、高齢者の生活動動作を維持しコミュニケーションの場を提供するレクリエーションの提供も、欠かせない「介護スキル」の一つです。
レクリエーションに関する資格はいくつかありますが、ここではレクリエーション介護士についてお伝えします。高齢者の特性や興味を活かしながら、毎日のレクリエーションの企画や運営を行い、喜ばれるレクリエーションを提供したいという方はぜひ参考にしてください。
レクリエーション介護士とはどんな資格?
レクリエーション介護士とは、高齢者との高齢者施設等で行うレクリエーションを効果的に実施するためのスキルが身につく資格です。この資格は2014年度の「多様な『人活』支援サービス創出事業(経済産業省)」に基づいて作られた、日本アクティブコミュニティ協会が認定する比較的新しい民間資格です。1級・2級の区分があり体系的にレクリエーションスキルが習得できます。
安全で興味をそそるレクリエーションの企画には、高齢者の身体的心理的機能や特徴の理解が欠かせません。そのため、まずは高齢者の理解から学習からスタートし、やがて生きがいや喜びにつなげるレクリエーションが提供できるよう段階的に学びます。
レクリエーション介護士の資格を取得するメリット
レクリエーション介護士の資格取得では、介護の基本的な知識を学ぶところから始めます。レクリエーションの企画立案や具体的な計画、実行までの一連のフローだけでなく、高齢者とのコミュニケーションスキルなど、基本的な介護技術についても学べるのがメリットです。
介護技術と効果的なレクリエーション。どちらの面でも戦力になりうるレクリエーション介護士の資格は、就職や転職でも有利だと言えるでしょう。
メリット1:高齢者介護の基本的な知識がつく
レクリエーション介護士の学習過程では、身体介護の基本的な知識を学びます。 安全な移送方法や移動介助、食事の介助など介護の基本技術は、どのような介護施設でも必ず活かすことが可能です。
例えば、車いすの移乗の場面を一つとっても、経験則だけで行うのと正しい知識や技術があって行うのとでは、介助される側の負担も違い、自分自身の身体への負荷も変わります。
メリット2:高齢者とのコミュニケーションスキルが身につく
高齢者とのコミュニケーションでは、いくつも注意点があります。補聴器を使用している方、加齢による聴力のアンバランスが著明な方、疾患により理解できていても反応することが難しい方など、高齢者といってもさまざまな状態の方がいます。
要介助者の背景や注意点を理解してコミュニケーションを取ることは、レクリエーションのニーズを知る最初の一歩。レクリエーション介護士の学習では、適切なコミュニケーションスキルも習得することができます。
メリット3:レクリエーションの企画運営スキルが身につく
レクリエーションの企画運営は、経験があっても難しいもの。参加者の興味をそそる企画や身体機能を維持するメニューを取り入れること、実施や運営に関するスタッフのアサインなど、多くの要素を考えながら計画を立てる必要があるためです。
レクリエーション介護士の学習は、レクリエーションの企画から運営までの具体的な方法について学ぶことができます。
レクリエーション介護士2級の資格の取り方
レクリエーション介護士の資格取得には、一般社団法人「日本アクティブコミュニティ協会」が認定する機関で講座を受講する必要があります。受講方法は、「通信」「通学」の2種類です。
受験資格
通信講座、通学講座ともに受講資格はありません。
ただし、試験を受けるためには指定講座を受講しなければなりません。
取得に必要なカリキュラム
レクリエーション介護士2級講座は次のようなカリキュラムで行われ、約3ヵ月間で資格取得を目指します。
- 基礎知識の習得
介護業界は初めてという方でも「仕事の内容」「必要な知識」から始め、「高齢者の特徴」「高齢者とのコミュニケーション」など介護の現場で使える知識を学習します。 - レクリエーションの企画力を学ぶ
レクリエーション企画の考え方や企画書など実践的なスキルを学びます。 - 試験
通信講座の場合は自宅受験も可能です。添削課題と最終課題(資格試験)を提出し60点以上で合格となります。受講期限内の再試験も可能なため、何度でも挑戦できます。
取得の難易度
通信講座でも受講できることや、自宅受験も可能なことから、レクリエーション介護士2級の資格取得のハードルはそれほど高くありません。実際、働きながら学習し資格取得している方も多く、比較的新しい資格であるにも関わらず3万人以上が取得している実績があります。
レクリエーション介護士1級の資格の取り方
レクリエーション介護士2級の取得後、人材育成や現場のリーダーとしての活躍を目指す方はぜひ1級も取得しましょう。
受験資格
1級を取得できる対象者は、以下のとおりです。
- レクリエーション介護士2級取得者であること
- 講師、受講生、協会スタッフ、介護事業者、利用者(高齢者)と円滑なコミュニケーションがとれること
- 介護レクリエーションの意義や役割を理解し、人に伝えることができる状態であること
参考:【公式】レクリエーション介護士|日本アクティブコミュニティ協会「レクリエーション介護士1級の資格ガイド」
取得に必要なカリキュラム
レクリエーション介護士1級を取得するためには、以下が必要です。
- 通学による必須講座の受講、または介護レクアカデミー会員特典の動画視聴による必須講座の受講
- 実技試験の合格
- 筆記試験の合格
- 現場実習
取得の難易度
レクリエーション介護士1級試験の合格率は公表されていませんが、資格取得には「講座受講」「実技試験合格」「筆記試験合格」「現場実習」のすべてが必須となります。このように、十分な学習時間が必要なこともあり、2級と比較しても難易度は高いといえそうです。
レクリエーション介護士の資格取得後の活躍の場
レクリエーション介護士の取得後は、介護施設や事業所等でスキルを活かして働くことができます。日々のレクリエーションを、安全で効果的なカリキュラムにするための活動が期待されています。
レクリエーション介護士2級を取得後の働き方
レクリエーション介護士は、一人ひとりにあったレクリエーションの企画立案や計画、実行までを任されます。また、個人の状態に適したレクリエーションを企画する力を磨くことで、全員が楽しめるレクリエーションを実施できるでしょう。
レクリエーション介護士1級 取得後の働き方
レクリエーション介護士1級の取得後は、介護施設などのレクリエーションリーダーとして活躍できるようになります。また、介護レクリエーション講師として他の事業所や施設、地域での指導も行うことが可能です。
レクリエーション介護士1級取得で得られるスキル
- 介護レクリエーションの意義・役割などについての深い理解
- 個人の状況に適したレクリエーション内容のアレンジ
- 目的に沿ったレクリエーションの計画
まとめ
レクリエーション介護士の資格についてお伝えしました。介護施設では日常的にレクリエーションが行われるにも関わらず、これまでは担当するスタッフの経験や慣例によってメニューが決められ、実施されている施設も少なくありませんでした。
一見単なる遊びにも思えるレクリエーションは、高齢者の身体機能の維持や生活動作の維持などに大きく関わっているうえ、コミュニケーションによる心理的なリハビリとしても注目されています。
さまざまな場面で活躍できるレクリエーション介護士は、高齢者施設や介護事業所の需要の高まりとともに、今後ますます重宝されていくでしょう。
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