保育士へ転職を希望する場合、履歴書だけでなく職務経歴書も必要となります。職務経歴書は、応募先に保育士としてのキャリアやスキルをアピールするための重要な書類です。しかし、「履歴書と何が違うのか」「何を書くべきなのか」など、書き方に自信がない方も多いのではないでしょうか。今回は、応募する保育園に自分のセールスポイントが伝わる職務経歴書の書き方を簡潔に紹介します。
職務経歴書を書く目的
履歴書は、氏名や住所、連絡先、学歴、職歴などの基本的な情報を記載する書類です。一方、職務経歴書は職歴をさらに深掘りして、前職でどういった業務を担当してきたのか、キャリアをアピールできる書類となります。自身のキャリアや強み、転職への意欲がわかる職務経歴書に書き上げることが大切です。
本業以外のことも詳しく書くことが大切
「何歳児のクラス担当をした経験があるか」は、必ず記載します。また、忘れてはいけないのが保育園全体に関わる業務を担当した内容の記載です。保育園側が知りたいポイントは、例えば、たくさん開催される行事のなかでどういった担当をしたことがあるのか、といった内容でしょう。保育園では、保護者が参加する行事もあり、保育士としてのスキルがないとなかなか任されません。
そのため、行事などの業務を経験したことがある方は、保育園にとって即戦力となる可能性が高く、印象も良くなります。ほかにも、保育園内の委員や地域との連携経験、写真撮影、データ編集ができることなどもセールスポイントとなるため、しっかりと記載しましょう。積極的に中途採用をしている保育園ならば、前職での豊富な経験を求める傾向があり優位とされています。
前職の経験が3年以下でも諦めずに書く
職務経歴書を書くときに悩むのは、前職の経験年数が3年以下など短い場合です。経験年数が短いときは、諦めずに経験と保育士に対する意気込みを自己PRの欄でしっかりと記載すれば問題ありません。白紙に近い状態は好ましくありませんが、経験をだらだらと記載するのは避けましょう。
保育園側に採用されたら何ができるのか、貢献できることを記載して自分の熱意が伝わる内容に仕上げることが必要です。
職務経歴書の書き方
書くときに心がけたいのが、箇条書きや項目に見出しをつけるなど見やすくまとめることです。また、正式名称で書くことが必要となるため、(株)や(社)などの略語は避けてください。さらに、パソコンで作成した場合は、誤字脱字などの変換ミスにも注意しましょう。職務経歴書の基本的な記載項目を、具体的に例をあげながら解説します。
職務経歴の欄
まず、職務経歴書には右上に提出する「日付」を記入します。日付は、西暦でも和暦でも表記は自由ですが、書類内では統一するのが基本です。次に、職務経歴のあらすじとなる「職務要約・概要」を200文字程度書き、続いて職務経歴欄の作成となります。
職務経歴の代表的な書き方は、以下の3つです。
- 古い経歴から書く「編年体形式」
- 新しい経歴から書く「逆編年体形式」
- 職務内容別に書く「キャリア形式」
何も指定がない場合は、「編年体形式」が一般的となるため、おすすめです。学校を卒業してからの経歴、最初に勤めた保育園(企業)のことから書きはじめてください。
【記入例】
■職務履歴
法人名:社会福祉法人 〇〇〇会
事業内容:保育園運営
配属:〇〇保育園 (施設種類:認可保育園 園児数:〇名 職員数:〇名)
所属期間:〇〇〇〇年〇月~〇〇〇〇年〇月(〇年〇ヵ月勤務)
担当:〇歳児クラス 〇年、〇歳児クラス 〇年
業務内容
職務履歴欄が作成できたら、次におもに担当してきた業務に関しての記載です。勤務先でのポジションや、担当したことがある業務などを書きます。どういったことに取り組んできたか、経験した業務がアピールできる項目となるため、できるかぎり詳しく書きましょう。
【記入例】
■業務内容
- 〇歳児クラス副担任業務 ○年
- 〇歳児クラス主担任業務 ○年
- 保育計画(年次計画、月案、週案、日案)作成
- 個別指導計画書作成
- 連絡帳記入業務
- 園だより、およびクラスだより作成
- 保護者面談
- 行事運営準備
- データ編集、ホームページ更新作業
- リスクマネージメント委員会メンバー
- 入園面接業務
取得済みの資格
業務内容の記載のあとに、取得資格の項目を設け、取得している資格や免許を記入します。ピアノ演奏グレードを取得している以外にも、ピアノを幼い頃からしている方や表彰経験がある方は、「特技・スキル」など項目を設けて、記載するといいでしょう。
【記入例】
■取得資格
〇〇〇〇年〇月 普通自動車一種免許
〇〇〇〇年〇月 保育士資格
〇〇〇〇年〇月 幼稚園教諭1種免許状
〇〇〇〇年〇月 社会福祉士資格
■特技・スキル
ピアノ(〇歳から習いはじめ、現在も続けています。)
マラソン(中学・高校では陸上部に所属し、現在もマラソンを継続しています。)
パソコンスキル(Excel、Word・PowerPoint)
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職務経歴書の自己PRを書くときのポイント
採用側に前職でどのような仕事を経験したかを示すだけでは、自身の魅力をすべて伝えることができません。そのため、自己PRの項目で補足が必要です。経験が多い方は200~400文字程度で、経験が少ない方は400~600文字程度を目安としましょう。経験が少ない方は、経験の短さやスキル不足を自己PRで補う必要があるため、文字数は多めが好ましいです。
自己PRでは、今後仕事をするうえでどういった工夫をして、どうなっていきたいかをアピールします。具体的な根拠を示し、説得力のある内容を簡潔に書くことがポイントです。
保育士未経験の場合
保育士の経験がない場合は、何を書けばいいのか頭を悩ませる方も多いかもしれません。しかし、がんばっていきたい熱意がわかる文章を書くことを心がければ大丈夫です。もし、異業種の仕事で得たスキルやキャリアを保育に活かせるのであれば、具体的に記載するとよいでしょう。
【自己PRの記入例】
- あらためて保育士になりたいと思った理由
- やる気(積極的に学んでノウハウを吸収したい思いなど)
- 保育士の仕事を長く続けることができること
- 現時点のスキル不足をいかにカバーしていくか具体例
保育士経験が5年未満の場合
保育士としての経験年数が5年未満と短い場合、採用の決め手は「人柄重視」となります。もちろん、業務で工夫したり努力したりしたことも、しっかりと書くことが大切です。また、保育士未経験の場合と同じく、今後の保育士としてのやる気や、可能性など未来への視点をアピールするとよいでしょう。
【自己PRの記入例】
- 前職に保育士として学んだこと
- 保育士にやりがいを感じた点
- 目指したい保育士の姿
保育士経験が5年以上の場合
保育経験が5年以上の場合は、保育に関してはもちろん、部下の指導などの経験も重要なアピールポイントです。豊富な経験を今後どう活かしたいかなどを具体的に書くと、保育園側が興味を持つ職務履歴書に仕上がります。
【自己PRの記入例】
- 行事などの企画・立案経験
- 保育士の指導計画などの作成補佐、点検経験
- 勤務シフト管理作成経験
- 管理職経験の場合、保育士育成のために大切にしてきたことがら
まとめ
職務経歴書の作成に正解はありません。自分の言葉で書き、自分らしさを伝えることが大切です。応募する前に、保育園のホームページで園の方針などをリサーチすると思いますが、できるかぎり保育園側が求める保育士像を推測してから職務履歴書を記載しましょう。今回ご紹介したことを参考に、保育士として「自分を雇うメリット」が伝わる職務履歴書に仕上げてください。
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