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保育士の平均給料ってどれくらい?安いと言われる理由や年収アップ方法も解説

  • 業界・資格ノウハウ

目次

「保育士の給料は安い」。そのような話を聞いたり、実際にそのように思ったりしている方がいらっしゃるのではないでしょうか?

この記事では保育士の平均的な給与を性別・年齢などの角度で見ていき、安いと言われている理由についても考えていきます。

また、給料アップのための方法もお伝えしていきます。



保育士の平均給料はどれくらい?

厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると保育士の給料は全国平均で24万4500円となっています。

また賞与の額は70万600円となっているため、平均的な年収は以下のようになります。

24万4500円×12か月+70万600円=363万4500円

ここからは性別、年齢別などの観点で見ていきましょう。


保育士の男女別の平均給料

保育士の男女別の給料は以下の通りです。

  • 女性:24万3500円
  • 男性:26万3900円

また賞与を合わせた年収に換算すると以下のようになります。

  • 女性:24万3500円×12か月+69万9300円=約362万
  • 男性:26万3900円×12か月+72万4800円=約389万

女性の保育士に比べ男性保育士の方が平均的な給与が高くなっていますが、これは男性保育士が少ないことが平均値に影響をもたらしていると考えられます。

参考:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」


保育士の年齢別の平均給料

保育士の年齢別の給料は以下の通りです。

女性 男性
20 ~ 24歳 21万3400円 21万9500円
25 ~ 29歳 23万5800円 23万2300円
30 ~ 34歳 24万500円 27万5300円
35 ~ 39歳 25万4000円 29万800円
40 ~ 44歳 25万3500円 41万400円
45 ~ 49歳 26万700円 29万2200円
50 ~ 54歳 26万5100円 30万8100円
55 ~ 59歳 27万5400円 41万8600円
60 ~ 64歳 24万5500円 31万7300円
65 ~ 69歳 27万8500円 -

参考:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」

女性の給料を見てみると20歳~60代まで20万円台で推移しています。

これは結婚・出産・育児で一度保育の現場から離れた方が、復職したり、家事や育児と両立しながら働いたりというような「キャリアの中断・停滞」が女性に多く、結果的に給与アップの機会を得にくい状態となっていることが理由として考えられます。


保育士の地域別の平均給料

地域によって子ども・保育園・保育士の数は異なります。そのため保育士は地域によっても給料の差が大きいことが分かりました。

最も保育士の給料が高いのは東京で約29万円です。一方、最も低いのは新潟県で約20万円でした。

給料が高い都道府県を見てみると、東京・千葉・神奈川・京都・愛知など都市部が多くなっています。反対に給料が低い都道府県を見てみると、新潟・岐阜・山形・島根・秋田など地方と言われる県が並んでいます。

しかし、都市部で働いた方が余裕をもって暮らせるかといえば、そうではありません。都市部は衣食住などの生活コストが高い傾向にあります。

家賃だけで見ても都市部の家賃は地方の倍ほどになるケースもあります。

(例)東京都1K⇒8万円 新潟県⇒4.5万円

このように得られる給料だけでなく支出の面も踏まえて働く地域を検討すると良いでしょう。

参考:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」


保育士の施設別の平均給料

保育士の職場といっても保育園以外の職場や私立・公立など様々です。

ここでは厚生労働省の「幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」を元にそれぞれの給料をお伝えします。保育士が働く施設ごとの給与月額(賞与込み)は以下の通りです。


私立 公立
常勤 非常勤 常勤 非常勤
保育所 301,823 187,816 303,113 162,859
小規模保育事業(注1) 269,186 182,163 - -
事業所内保育事業(注2) 257,396 231,320 - -

参考:令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】
(注1)小規模保育事業はA型・B型の平均値
(注2)事業所内保育事業はA型・B型・20人以上の平均値

施設別で見てみると公立の保育所(常勤)が最も給料が高いと見てとれます。



保育士の給料って安い?

ここまで様々な角度で保育士の給料をお伝えしてきましたが、保育士の給料は本当に安いのでしょうか?


保育士と他の職種の比較

先述したとおり、保育士の給料は全体の平均で24万4500円です。一方全職種の平均給料を見てみると30万7700円と約6万円ほどの差があります。

この数値を見るとかなり「保育士の給料は安い」と感じるかもしれません。

しかし、保育士は現状女性が大半を占めている職種です。女性全体の平均給料を見てみると25万1000円となっています。

女性の平均と比較しても6000円程差はありますが、それほど大きな差とは言えないかもしれません。

それでは保育士の給料はなぜ安いと言われるのか考えていきましょう。


保育士の給料が安いと言われる理由

それでは保育士の給料が安いと言われる理由に関しては様々あると思いますが、大きく分けて「仕事内容に給料が見合わない」「なかなか給料が上がらない」の2つがあげられるのではないでしょうか。

保育士の仕事は子どもを預かっている間のお世話をするだけではありません。

開園前は園児が快適に過ごせるように清掃などの準備をしたり、閉園後は日誌や指導計画の作成、教室や行事に必要な装飾の作成を行ったり、業務は多岐にわたります。

その結果、業務時間内に仕事が終わらず残業を余儀なくされることや「持ち帰り」が発生してしまうこともあるようです。

そして、「こんなに日々の仕事を頑張っているのに、なかなか給料が上がらないのは嫌だ」と悩んでいるかたも多いのではないでしょうか?

ここからは保育士の方は給料を上げるにはどうしたら良いか?をキャリアアップや国の制度などあらゆる方法で紹介いたします。



保育士が年収を上げるにはどうする?

保育士が給料を上げるには様々な手法があります。また保育士の処遇については国としても課題に感じており、改善のために力を入れています。

ここでは給料を上げるための方法を4つご紹介します。


主任・園長を目指す

あたりまえのことかもしれませんが、主任や園長などの役職に付くことで給料はぐんと上がります。保育園における園長・主任・保育士の給与月額(賞与込み)は以下の通りです。

私立(常勤) 公立(常勤)
園長 565,895円 632,982円
主任保育士 422,966円 561,725円
保育士 301,823円 303,113円

参考:令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】

保育士→主任保育士→園長になるにつれて給与月額が10万円前後アップしています。
とはいえ、主任や園長になるには経験年数や保育以外のスキルも必要になってくるため、「遠い道のり」と感じる方も多いでしょう。

園長になる方法についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
保育園の園長になる方法は?キャリアアップに必要な資格や経験をご紹介!


処遇改善加算

処遇改善加算とは国による「保育士のキャリアや給料の向上を通して、保育士を確保をしていこう」という取り組みのことです。処遇改善加算には2つの種類があります。

  • 処遇改善等加算Ⅰ
  • 処遇改善等加算Ⅱ

それぞれの特徴を簡単に説明していきます。

処遇改善等加算Ⅰ

平成27年度に保育士の処遇改善のためにできた「経験年数に応じて給料がアップする」取り組みです。基礎分・賃金改善要件分・キャリアパス要件分と3つの内容で構成されています。

  • 基礎分
    1人当たりの平均経験年数に応じて加算率(2~12%)が設定されます。
  • 賃金改善要件分
    賃金改善を行い、その実績を報告した施設に対し5%の加算がされます。(職員の平均勤続年数11年以上の施設は6%)
  • キャリアパス要件分
    役職や職務内容などに応じて勤務条件や賃金体系を設定し、資質向上の具体的な計画策定及び計画に沿った研修の実施又は研修機会の確保、職員への周知等が必要となります。またこの要件を満たさない場合は「賃金改善要件分」から2%がマイナスされます。

参考:内閣府「平成 30 年度子ども・子育て支援新制度市町村向けセミナー資料」

処遇改善等加算Ⅱ

平成29年度に保育士の処遇改善加算Ⅰから追加でできた「技能や経験を積んだ職員の給料がアップする」取り組みです。これにより保育施設内での役職に主任・園長だけでなく、副主任保育士・専門リーダー・職務分野別リーダー・若手リーダーなどの役職が新しく生まれました。

これらの役職に就くことで月額5000円~4万円の給料アップになります。

この役職には役職者からの発令や経験年数などの要件を満たし、都道府県又は都道府県知事の指定した研修実施機関でキャリアアップ研修を修了することで就くことができます。

ただし、要件となっている経験年数に関しては「概ね」であり、各施設の状況を踏まえて決めることが可能とされています。

キャリアアップ研修についての詳細は厚生労働省のページをご覧ください。

厚生労働省:保育士等キャリアアップ研修ガイドライン

参考:厚生労働省「保育士のキャリアアップの仕組みの構築と処遇改善について」


資格を取得する

保育士+αで資格取得をすることで資格手当が出るところもあります。資格をとることで子どもたちにとって、より良い保育を行うこともできるでしょう。

仮に、直接的に資格手当が出なくても、資格を取得して保育士として成長することで評価され昇給に繋がるきっかけになるのではないでしょうか。

保育士の方におすすめの資格を5つご紹介いたします。

  • 絵本専門士
    子どもたちの成長に大きな影響をもたらす"絵本"に関する専門的な知識や実践力を備えた絵本の専門家になるための資格
  • チャイルドコーチングアドバイザー
    子どもたちの成長をサポートするために、子どもたちのやる気や行動、能力を引き出すスペシャリストの資格
  • チャイルドマインダー
    子どもや親ひとりひとりと向き合うことができる「家庭的な保育サービス」を行う専門家になれる資格
  • 幼保英語士資格
    子どもたちに英語を教えたり、英語を使って遊んだりできることを表す資格
  • レクリエーション・インストラクター
    応じてゲームや歌、集団遊び、スポーツなど目的に応じたレクリエーションを企画・実践するプロの資格

子どもとの日々のコミュニケーションに役立つものから絵本、レクリエーションに役立つものまで様々です。日々の業務が忙しいなかで更にスキルアップのための資格取得を目指すことは簡単なことではないと思います。

しかし、給料アップを目指すのであれば基本的な保育の知識だけでなく周りと差が付く知識、スキルを身に着けておくのがおすすめです。


給与の高い職場に転職する

役職に就いたり、処遇改善加算を利用したりせずに給料を上げることができる可能性があるのは「他の保育施設で働く」という選択肢です。

先述した通り、保育施設の中でも地域や私立・公立でも給料は異なります。

公立の保育施設で働く保育士(公務員保育士)は給与改定で毎年少しずつ給与が上がっていったり、退職金などの福利厚生も充実していたりします。

また、私立の保育施設は仮に同じ地域・施設形態だとしても、その給与は運営する母体により様々です。

公務員保育士と私立保育士の違いに関しては以下の記事で詳しく解説しています。
公務員保育士は私立保育士とどう違う?給与や待遇など解説

求人サイト各社では希望の給与や働き方で求人を探すことが出来ます。例えば「月給27万円以上で残業は少な目がいい!」といった条件で探すことも可能です。

給与や働き方に課題があり、キャリアアップ以前にまずは職場を変えたい、という場合は転職を考えるのも1つの選択肢でしょう。



まとめ

保育士の給料は全体平均と比べるとやや低く、決して高い給料とは言えません。

保育士の仕事自体は好きなのに給料がネックになって、保育士を辞めることを考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

保育士の処遇改善は国が力を入れている分野でもあり、これから給料が改善されることが予測されます。

今の職場で国の制度、資格の取得を用いてキャリアアップを目指すのも良いでしょう。あるいは給料の高い他の保育施設で働くことを検討するなど給料アップにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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