新型コロナウイルスワクチン(以下、新型コロナワクチン)の接種について、河野太郎規制改革相は2021年5月29日、7月末までの高齢者のワクチン接種完了を条件に、保育士や教員などにも接種対象を拡大することを自治体の裁量にまかせると話しました。
こうした政府の方針を受け、高齢者接種完了後の独自の接種方針を発表する自治体が相次いでいます。
従来の新型コロナワクチンの優先接種対象
新型コロナワクチン接種を進めることで、新型コロナ感染拡大を防ぎ、感染した際の重症化をおさえる効果が広く期待されています。ただ、確保できるワクチン量が限られていることから、国が接種対象者の優先順位を決めています。
厚生労働省が作成した手引きによれば、接種対象の優先順位は以下のとおりです。
[新型コロナワクチン接種の優先順位]
① | 医療従事者等 (医療従事者のほか、救急隊員や保健師なども含む) |
---|---|
② | 高齢者(2021年度中に65歳以上となる方) |
③-1 | 基礎疾患を有する方 (①②以外で慢性の疾患やがんなど免疫を低下させる病気などで通院や入院をしている方、BMI30以上の肥満の方) |
③-2 | 高齢者施設等の従事者 (介護施設の職員など) |
③-3 | 60~64歳の方 (2021年度中に左記年齢になる方) |
④ | ①~③以外の方 |
参考:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」
7月末までに高齢者接種が完了する自治体が9割
2021年5月21日時点で、7月末までに高齢者の接種が完了する自治体が全体の92.8%となっています。
参考:厚生労働省「高齢者に対する新型コロナワクチン接種」
重症化リスクの高い高齢者へのワクチン接種が進んでいる状況を背景に、複数の自治体から国に対し、保育士や教員への優先接種を行いたいという要望が出ていました。
自治体独自の接種優先枠を設けることを容認
「保育士や教員など従来の優先枠に含まれないエッセンシャルワーカーを優先接種の対象としたい」という自治体からの要望を受け、2021年5月29日、新型コロナワクチン接種推進担当である河野大臣は、7月末までの高齢者の接種完了を条件に自治体独自の優先枠を設けることを容認しました。
「自治体トップの裁量でやってもらいたい」と自治体に話したということです。
集団接種で余ったワクチンをエッセンシャルワーカーへ
高齢者を対象にした集団接種が各地で進む中、予約していた高齢者が接種をキャンセルし、ワクチンが余るケースも出ています。
神戸市や佐賀県武雄市など複数の自治体が、キャンセルで余ったワクチンを保育士や教員などのエッセンシャルワーカーに優先的に接種できるようにしたり、今後のワクチン接種の優先枠に加えたりする方針を発表しています。
編集部コメント
変異株の拡大を背景に、保育園や幼稚園、小学校など、子どもたちが過ごす施設での集団感染、クラスター発生が各地で報告されています。
緊急事態宣言下でも保育園や幼稚園、学校などの児童福祉施設は通常どおりの運営を続けています。保育士や幼稚園教諭、教員の方々は、子どもたちとともに感染リスクにさらされながら不安な日々を過ごされていることでしょう。
従来の優先接種対象に入っていないエッセンシャルワーカーを守るために、自治体ごとに独自の方針を打ち出せるようになったのは喜ばしいことです。
新型コロナワクチン接種は、住民票のある自治体で受けるのが原則となっています。一方で、地域の負担を軽減するために、職場単位でのワクチン接種が2021年6月21日から開始できるようになったという厚生労働省の発表もありました。
参考:厚生労働省「新型コロナワクチンの職域接種の開始について」
日々の仕事で新型コロナ感染の脅威にさらされているエッセンシャルワーカーの皆さまには、職場やお住まいの自治体からのワクチン接種情報に注意していただきたいと思います。
厚生労働省の公式ページでは、ワクチン接種情報を確認できます。ぜひご活用ください。
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