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コロナ労災の決定件数は医療従事者等が7割以上。対象者や申請方法を解説! | 業界ニュース

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目次

世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)。感染経路が明確なこともあれば、どこから感染したか分からない「経路不明」の方も少なくありません。

なかには、仕事中に新型コロナに感染してしまったというケースもあるでしょう。その場合は「労災保険給付」を受けられます。労災とは、労働災害の略で労働者が仕事に関わる場でケガや病気にかかること。その治療や生活・社会復帰を促すための支援を労災保険と言います。

この記事では、仕事が原因で新型コロナにかかった場合に受けられる"コロナ労災"について、どのくらい労災として認定されているのかや受けられる支援の内容を解説します。労災を申請するための手順も紹介するのでぜひ参考にしてください。



コロナ労災決定件数の5割は医療従事者

2021年9月24日、厚生労働省から新型コロナに関わる労災の請求件数等が発表されました。

労災と認められた件数は累計で14,539件となりました。中でも医療従事者の件数は7,395件と半分を占めています。

医療従事者だけでなく、その他のエッセンシャルワーカーと呼ばれる人たちも含めると、その割合は7割を越えます。特に、介護・福祉・保育業界での労災決定件数は3,524件と医療従事者に次ぐ件数となりました。

仕事柄人と関わることが多かったり、新型コロナに感染している人と対面することがあったりすると、「自分も感染してしまうのではないか」と不安ですよね。

では、どのようなときに新型コロナによる労災として認められ、どのような支援を受けることができるのでしょうか。次の章で解説していきます。

参考:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に関する労災請求件数等」



コロナ労災による保険給付とは?

労災保険を受けることができるケース

厚生労働省によると、新型コロナによる労災保険給付の対象は以下のように定義されています。

  • 感染経路が業務によることが明らかな場合
  • 感染経路が不明の場合でも、感染リスクが高い業務に従事し、それにより感染した蓋然性が強い場合

つまり仕事中に感染したことが明らかであったり、感染経路が不明でも感染リスクが高い仕事に就いていて、仕事中に感染した可能性が高かったりすると対象として認められるということです。

また、業務上で感染リスクの高い、医師・看護師や介護の業務に従事される方々については、業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として労災の対象とされています。

上記の定義に当てはまれば、バイト・パートなど、どんな雇用形態でも給付の対象となります。

参考:厚生労働省「職場で新型コロナウイルスに感染した方へ」


コロナ労災で受けられる支援

労災として認められた場合、様々な支援を受けられます。ここでは支援内容を紹介します。


療養補償給付

労災指定医療機関にて受診することで、原則として無料で治療を受けられる支援です。やむを得ず労災指定医療機関以外で治療を受けた場合でも、後から労災請求をすることで、負担した費用の全額が支給されます。

ただし、労災の場合は健康保険が利用できないため、治療にかかる費用は全額支払うことになります。そして治療費を支給してもらうためには領収書が必要になるため、きちんと保管しておきましょう。

労災保険指定医療機関はこちらのページからお探しいただけます。
厚生労働省「労災保険指定医療機関検索」


休業補償給付

療養のために仕事を休み、賃金を得ることができない場合、給付を受けることができます。給付対象となる期間と金額は以下の通りです。

  • 給付日:休業4日目から
  • 給付額:休業1日あたり平均日給の8割

遺族補償給付

業務中に新型コロナに感染し、亡くなった労働者のご遺族の方は、遺族補償年金、遺族補償一時金などを受け取ることができる支援です。

このようにコロナ労災として認められれば、給付を得ることができ、金銭面での負担は軽減されるでしょう。では、実際どのようなときに「新型コロナによる労災」と認められているのでしょうか?


新型コロナウイルスによる労災認定事例

ここでは実際に新型コロナによる労災と認められたケースを見ていきましょう。仕事内容によりますが、「仕事中に感染した」という根拠がなくても労災として認定されているケースも多いです。


医師

Aさんが診察した患者に発熱等の症状がみられ、その患者は後日新型コロナに感染していたことが判明した。その後、Aさんに発熱等の症状が出現し、濃厚接触者としてPCR検査を行ったところ、新型コロナ陽性と判定された。

労働基準監督署における調査の結果、Aさんは、業務外で感染したことが明らかではなかったことから、支給が決定された。


看護師

Bさんは、日々多数の患者に対し、問診、採血等の看護業務に従事していたところ、頭痛、発熱等の症状が続き、PCR検査で新型コロナ陽性と判定された。

労働基準監督署における調査の結果、Bさんは、業務外で感染したことが明らかではなかったことから、支給が決定された。


介護職員

Cさんは、訪問介護利用者宅で介護業務に従事していたところ、利用者に新型コロナ感染が確認されたため、濃厚接触者としてPCR検査を受けた結果、新型コロナ陽性と判定された。

労働基準監督署における調査の結果、Cさんは、業務外で感染したことが明らかではなかったことから、支給が決定された。


保育士

Gさんは、保育園で保育業務に従事していたところ、発熱等の症状が出現したため、PCR検査を行ったところ、新型コロナ陽性と判定された。

労働基準監督署における調査の結果、Gさん以外にも、同時期に同僚労働者や複数の園児の感染が確認され、クラスターが発生したと認められた。

以上の経過から、Gさんは新型コロナに感染しており、感染経路が特定され、感染源が業務に内在していたことが明らかであると判断されたことから、支給が決定された。

引用:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係る労災認定事例」



コロナ労災を申請するには?

業務中に新型コロナに感染したら、労災を受けられることが理解できたとはいえ、どのように労災の申請をすれば良いか分からない方も多いのではないでしょうか?

労災申請から認定されるまでには、感染した本人と事業者それぞれに行うべき手続きがあります。

本人が行うこと 事業主が行うこと
請求書の提出
申立書の記入・提出
請求書への証明
使用者報告書の提出

ここでは新型コロナに感染した本人が行うことを詳しく紹介していきます。


①請求書の提出

まず、医療機関にて受診し、新型コロナに感染していることが判明したら指定医療機関(または労働基準監督署)へ請求書を提出します。

請求書は事業主の証明が必要な書式となっています。しかし、事情がある場合は事業主証明が無くても問題ないため安心してください。

管轄の労働基準監督署に請求が受理されると次のステップに進みます。

請求書の様式は以下ページからダウンロードいただけます。
厚生労働省「労災保険給付関係請求書等ダウンロード」


②申立書の記入・提出

労働基準監督署は"労災と認められるか"を調査する必要があり、そのために申請者は「申立書」を提出します。

申立書には治療の経過や勤務状況、感染経路、発症前14日間の状況などを記載します。医療・介護関係で従事している方は業務中の感染リスクが高いため、他の申請者に比べ記入項目や少なくなっています。

発症前14日間の状況は1日ずつ、出勤の有無・行動歴/接触歴・職場での状況などを記載しなければいけないため、思い出すことも記入することも難易度が高いと言えるでしょう。

新型コロナにかかるリスクが高い仕事をしている方は、スムーズに申立書の記載ができるよう、簡単な日記を付けておくとよいかもしれません。

また体調が悪く、自身で申立書の記入ができないときは事業主に援助してもらうことが可能です。これは「協力しなければならない」と法律で決まっていることなので、ためらわずに依頼して問題ありません。

参考:労働者災害補償保険法施行規則第23条(抄)


③認定

上記のステップを踏み、労働基準監督署から認定されることで労災補償を受けることができます。2021年9月24日時点の情報によると、請求件数のうち約8割が労災として認められています。

補償内容や申請方法など知りたいことがある場合は、近くの労働局・労働基準監督署へ問い合わせてみてくださいね。
厚生労働省「都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧」



編集部コメント

誰にでも新型コロナに感染する危険性はあります。なかでも医療従事者の方は実際に感染者の対応を行うこともあり、その可能性は高いです。

また介護士や保育士など、多くの人々を相手に行う仕事でも「もしこの中に感染者がいたら...」「熱があるということは...?」と不安に感じることも多いでしょう。

もし仕事中に新型コロナに感染したら、労災を申請することができ、その多くが労災として認められています。「仕事中に感染したか分からないから」と申請を迷う方もいるかもしれませんが、生活に関わる問題です。仕事中に感染した可能性が高いと感じる場合は申請を行うようにしましょう。

新型コロナのワクチンの接種者が増え、新規感染者も下降傾向にあります。しかし、油断は禁物です。引き続き出来る限りの感染対策を行っていきましょう。



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